- 森本 直人
- 森本FP事務所 代表
- 東京都
- ファイナンシャルプランナー
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対象:家計・ライフプラン
- 吉野 充巨
- (ファイナンシャルプランナー)
- 吉野 充巨
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「老後2千万円必要」との金融庁の試算について、ネットなどで議論が巻き起こっているようです。
年金だけでは、もう老後の資金を賄うことができないのか。
年金制度はすでに破たんしているのか。
などの声があがっています。
私も金融庁の報告書に目を通しましたが「老後2千万円必要」とは、将来の予測ではなく、今現在の平均値から導き出された数字のようです。
今現在の高齢夫婦無職世帯の収支は平均で、収入:約21万円(公的年金など)、支出:約26万円、毎月の不足額が約5万円。
仮に95歳まで生きた場合は、65歳からの30年間で、約2千万円(年60万円×30年+α)を取崩すことになるとの試算です。
また、今現在の高齢夫婦無職世帯の平均貯蓄額は2484万円。
これを見ると老後2千万円は、非現実的な数字ではないようにも思えます。
ただし、仮に1億円を持っている人が1人で、貯蓄ゼロが4人の計5人の集団でも、データ上の平均値は2千万円です。
ここに数字の落とし穴があります。
実際、金融資産をたくさん持っているご家庭がある一方で、貯蓄ゼロの世帯も多いです。
今回、ネットで騒動になってしまったのは、「うちは貯蓄ゼロだがどうすればよいのか」と感じた方が多いからだと思います。
とはいえ、仮に貯蓄ゼロであったとしても、上記のケースで、月21万円の支出でやりくりできていれば、現状で家計が破たんしているとまでは言えないわけです。
国が「もう2千万円用意しろ」と強制しているわけではないので、過剰に不安をあおる報道には注意した方がよいと思います。
なお報告書は、主に金融サービスの在り方について議論した内容をまとめたものなので、老後資金の準備の仕方として、必然的にiDeCoやNISAの活用が提案されていますが、老後の備え方は人それぞれでよいはずです。
積立投資で老後資金を作る人もいれば、節約で頑張る人、長く働き続ける人がいてもよいなど。
いずれにしても、計画性は大事ですが、仮に老後2千万円に届かなくても、いのちまで取られるわけではありません。
例えば、山口県で行方不明になった2歳の男の子を見つけたスーパーボランティアの方は、貯蓄ゼロで国民年金だけで暮らされていると聞いたことがあります。
発見されるまでの数日間、水だけで生き延びた2歳の男の子の生命力もすごいです。
お金があるに越したことはありませんが、人はどんな環境でも、その気になれば、助け合って生きられるものだと思います。
参考資料:
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html
このコラムの執筆専門家
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