田尻 健二
タジリ ケンジオウム返しのような伝え返しは特殊な場合を除いては、ほとんど役立たないと思います
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最初にTwitterのツイートをこちらにも転載させていただきます。
カウンセラーに一番大切なことは、まずは緊張せずにリラックスすることだと思います。
ガチガチに緊張しながら懸命にオウム返しのような伝え返しをしたところで、お客さんは自分の話が理解されたと思うどころか、おそらく「この人、本当に大丈夫なんだろうか」と専門家としての能力を疑うでしょう。
これを読まれて当たり前だとお感じになれた方も多いと思いますが、心理職のトレーリングの現場ではなぜか違った考え方が主流を占めています。
その考えとは次のようなものです。
ク ライエント(お客様)の話を正確に伝え返す(=オウム返しする)ことで、クライエントは自分の話が深く理解されたと感じ、さらに自分という存在が心から受け入れられたと感じることで本来の健全な状態の自分を取り戻し(自己一致し)、それによって自己治癒力が高まり、その自己治癒力によって自らの力で問題の解決方法を導き出す。
ですが実際のクライエントさんが感じるのは例えば次のようなことです。
この人、何で私の言ったことを、ただそのまま繰り返すのだろう?
変な人(あるいはバカにしているのか?)
ですから多くのカウンセラーはクライエントさんの自己治癒力を信じてオウム返しの腕を磨き、そして実際のカウンセリングで練習の際のクライエント役の人とはまったく異なる反応に直面するという洗礼を受けることになります。
そして自分が教わってきたことが、そのままではほとんど役立たないことを思い知らされ、そこからが本当の学びのプロセスの始まりとなります。
※もちろん私もこの洗礼をしっかり受けた一人です。
ちなみにこのようなオウム返しがむしろ役立つのは、精神病水準にあるような極めて重症の自己愛障害の方のみと私は認識しています。
その理由はこのような方は多くの場合、それ以外のいかなるアプローチも一切受け付けなかったりするためです。
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