田尻 健二(心理カウンセラー)- コラム「私たちは無意識に、他人に対して多くのことを期待しています」 - 専門家プロファイル

田尻 健二
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田尻 健二

タジリ ケンジ
( 東京都 / 心理カウンセラー )
心理カウンセラー・産業カウンセラー・夢分析家 
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私たちは無意識に、他人に対して多くのことを期待しています

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心の病 依存症 2013-03-20 01:29

純粋に「相手のため」という行為は存在するのか?

前回のノートでは純粋に「相手のため」と思ってしたことでも、相手の方から感謝されるなどの行為が生じることで、結局は自分の利益にもつながることを考察しましたが、最初の部分の「純粋に相手のために」何かを行うことが可能なのかどうかについて触れておりませんでした。

ですから今回はこの点について検証してみたいと思います。

このことについてはいろいろな考え方はあるようでして、例えば精神分析ではそのような完全に利他的な動機というものを想定するのは困難で、無意識の心理まで含めれば、ほとんど必ずと行ってよいほど相手に対する何らかの見返りを期待していると考えられています。

しかしその一方で、見返りを期待するような利己主義を戒め、トレーニングによって純粋に相手のためを思って行動する慈悲の心を育てることを目標とする心理学や宗教もあります。

ではどちらの主張が正しいのでしょうか?
これにつきましては私自身、後者のような厳しいトレーニングを行った経験がありませんので正直よく分かりません。

そこで今回は、皆さんに普段ご自身が「相手のため」と思ってしていることが本当にそうなのかどうかを確かめる簡単な方法をご紹介させていただきます。

 

自分の「相手のため」という行為の真意を簡単に確かめる方法

この先いろいろな場面で相手の方のためを思って何かを行う機会があるかと思いますが、その際に自分が行った行為に対して相手が示した態度を見て、ご自身がどのように感じたのかを観察(自己観察)してみてください。

おそらく程度の差こそあれ、相手の方がお礼を言ってくれなかったり、喜んでくれなかったりしたときには、ガッカリしたりショックを受けたりしたのではないでしょうか?

 

私たちは無意識に、他人に対して多くのことを期待している

このようなことが心に生じるのは、自分でも気づかずに相手の方に例えば感謝ですとかを実は期待していて、それが叶わなかったためと考えられます。

私も上述のテストを何度か試してみましたが、いずれも自分が何らかの期待をしていて、それが叶えららえなかった時には一瞬でも傷つきを味わいました。

ですから私たちは、自分では純粋に「相手のため」と思ってしている行為でも、実はそうではないことがあるということなのだと思います。

ただこれについては無意識的に見返りを期待する心をすべて自覚し、その心をすべて利他的に変えて行けば、理論上は見返りを期待する心は消滅するはずです。

しかしこれも残念ながら不可能です。なぜなら無意識とは意識されていない心の部分を指しますが、まだ意識化されていない心が残っているかどうかを確かめるすべがない為です。

仮に残っていたとしても、それは意識できない無意識の領域なのですから、どんなに意識化し続けても、その終わりの時点を知ることはできません。

このように私自身のテスト結果などからも、無意識に相手の方に対していろいろと期待してしまうことがあるのでしたら、いくら純粋に相手のことだけを強く思って行動しようとしても、完全にそれを無くすことはできないというのが私の考えです。

そしてそれでしたら相手に見返りを期待するのは「人間として当たり前のこと、ある程度は仕方のないこと」だとして受け入れることも有益ではないかと思います。

以 上のように、あくまで仮説ですが、相手の方からの肯定的な反応を受け取ること以前に、純粋に相手のことだけを思って行動すること自体も非常に難しいという 前提の元に、次回はいよいよ「健全なナルシシズム(自己愛)の受容」について考察してみたいと思いますが、実は今回の考察の最後の部分でその多くを語って しまっていますので、次回はさらっとまとめる感じになるかもしれません。

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