池見 浩(消費生活アドバイザー)- Q&A回答「Re:引っ越し業者さんとのトラブルについて」 - 専門家プロファイル

池見 浩
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池見 浩

イケミ ヒロシ
( 東京都 / 消費生活アドバイザー )
消費者考動研究所 代表
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引っ越し業者さんとのトラブルについて

人生・ライフスタイル 消費生活 2018/07/16 16:50

引っ越し業者さんに勝手にベッドを破棄されました。
原因はスタッフ間の連絡ミスです。
(担当さんも認めています)

担当さんから廃棄場にいったので使えない。減価償却を引いて2万で示談を、言われました。
6万弱で購入し数年も使用していないものです。新たに購入すれば4万は手出しです。
納得できない旨を伝えると、翌日廃棄場から探し出したと連絡がありました。
しかし「修理はしない」「代替品は用意しない」「金銭で解決する(でも2万)」の一点張りです。

見積もりをみると保険料も計上してあるのに、全く理解できません。
スタッフさんのミスをなぜ私が負担しなくてはいけないにでしょう。

どのように対処したらいいかご教示くださいませ。

umiumautuboさん ( 福岡県 / 女性 / 52歳 )

池見 浩 専門家

池見 浩
消費生活アドバイザー

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Re:引っ越し業者さんとのトラブルについて

2018/07/17 15:41

umiumautubo様

はじめまして。消費者考動研究所の池見です。
大切にされていたベッドの件、引越業者さんの対応等で納得が行かないお気持ち、お察しいたします。

対処法とのことですが、まずお勧めしたいことは、ご自身で「いつ、だれが、なにを、どんなふうに、どうした」等々、最初の依頼時から現在までに実際に起きた「事実のみ」を、時系列で箇条書きにメモでまとめられることをお勧めします。
経緯メモを作成することで、ご自身の考え方や事実確認の過不足の確認や、相手とのトラブルの問題点等整理することができます。また、相談機関に相談する時や交渉の際にも役立ちます。但し、「きっと〇〇に違いない」「ネット上ではこんなうわさだ」など、事実ではない推測は一切排除します。

その上で、この問題の幾つかの考え方・見方を整理しました。
1.ミスを認めた事業者は、どこまで賠償すべきか
2.最終的に、和解で解決したいのか、徹底的に訴訟等も辞さない気持ちで争いたいのか

1.ミスを認めた事業者は、どこまで賠償すべきか
まず確認していただきたいのは、引越業者さんとの契約内容です。
契約書に書いてある補償内容が、どの場合にどうなっているのかの記載について、特約等もあるのか確認し、その記載に基づいて交渉することになります。
国土交通省では、引越業者の標準的な約款「標準引越運送約款」を作っています。必ずしもこの通りの規約にする必要はありませんが、準拠した内容にすることになっています。
*参考 公益社団法人全日本トラック協会「標準引越運送約款のポイント」http://www.jta.or.jp/yuso/hikkoshi/pdf/hikkoshi_yakkan_point.pdf

また、保険料の見積もりとありますが、この保険の内容も確認する必要があります。もし、保険料を支払っていて内容を表す書面を受け取っていないようなら、引越業者に提示を求めてみましょう。

廃棄場から見つかったベッドは、もう壊れて使えないのでしょうか?
一般的に、規約や保険などで全額賠償する約束が無い場合、他人の物を破損させてしまったら、壊した人が使用できる状態に修繕するか、自身で修繕できない場合は、修繕費を支払うか、対象となる物の対価をお金で賠償することになります。

今回の場合、引越業者さんが直さない理由は何でしょうか? 家具修理店に依頼すれば、技術的に修繕は可能な状態なのでしょうか。その辺を確認し、ご自身で家具修理店の見積もりを取って費用負担を引越業者と交渉する方法もあります。ただ、その場合、購入金額より高くなることもあり、結局は買ったほうが早い場合もあります。

修繕できない、あるいは修繕はしないので、ベッドの対価をお金で補償となった場合は、原則的には、新品価格ではなく、壊してしまった時点でのそのベッドの現存価値=減価償却後の金額を補償すれば良いことになります。
但し、「いくら補償すべきである」と主張するには、その根拠を主張する側が証明する立証責任があります。引越業者さんの2万円の提示算出根拠を確認するとともに、仮に2万円ではなく別の金額を要求なさるのではあれば、ご自身で算出根拠を提示する必要があります。
一つの参考としては、必ずしもこの数値通りとは申しませんが、国税庁の減価償却資産の耐用年数を資料になさる方法もあります。
https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34358.php

この場合、ベッドの減価償却耐用年数は8年です。仮に4年経過していたら、耐用年数としては残り4年で価値も半分という見方もあります。
これに、具体的には購入金額を証明できる資料を準備し、現存価値を算出することになります。

もちろん、相手の納得が得られる根拠を示して、上記の範囲を超える内容で円満に合意できれば、それはそれでOKです。

2.最終的に、和解で解決したいのか、徹底的に訴訟等も辞さない気持ちで争いたいのか
交渉の結果には、互いに合意できる内容で折り合いをつける和解と、互いの主張を誰かに判断してもらう裁定があります。
和解には、当事者間の交渉や、消費生活センターなどのあっせん(橋渡し)によるもの、簡易裁判所での調停などの方法があります。裁定は、一般的には訴訟となります。

当事者同士が、どっちも主張も曲げないとなると、結局は交渉が決裂し、最終的には誰かに白黒決めてもらうことになります。何が何でも新品価格全額出ないと譲れないのか、それとも、業者さんの応対によっては、本当は出来ればお互いの合意点を見つけて早く和解で解決したいのか。

これは、どちらが良い・悪いということではなく、この引越の契約をした契約名義人のみが決めることです。(契約名義人以外は、基本的に決定権がありません)
一度検討なさってはいかがでしょうか。
和解を希望される場合は、感情的に戦わずに、着実な事実・根拠のやり取りで「事務的に」進めた方がよろしいかと存じます。

もし、交渉の進め方や契約上の不明点や、相手が全く説明もしてくれないなどがありましたら、一度地元自治体の消費生活センター、もしくは自治体等で開催している無料法律相談に早めにご相談されることをお勧めいたします。
*「気持ちとしてもう使いたくない」など心理的・精神的な慰謝料請求は、消費生活センターでは対応範囲外となります。

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