- 原田 将孝
- GLS予備校 校長
- 塾講師
対象:子供の教育・受験
起業前にいくつかの塾でアルバイトをやっていた頃、たくさんの他のアルバイト講師を見てきましたが、どうも「教える」ということを簡単に考えている人や、生徒が伸びなくても「自分はちゃんと授業をやっているのに、生徒がちゃんとやってくれないのが悪い」と文句を言っている人の多さが目に付きました。
もちろん、勉強しない生徒を伸ばすのは物理的に困難を極めますし、私自身にもそれは不可能です。ですが、勉強しているのに伸びないという生徒がいれば、それは教える側の技術力不足に他ならないのではないでしょうか。
さて、そもそも「教える」とは一体どういうことなのでしょうか?
そう思って辞書を引いてみると、広義では「分かりやすく説明し、それが身につくようにしてやる」とあります。
ならば、いくら自分自身ではうまく説明出来ていると思い込んでいても、相手がそれを身につけられなければ、それは「教えてない」ということになります。
教えるに当たって学力は当然必要ですが(ここ大事)、それ以外に「教わる生徒は自分とは違う人間であり、身についている能力も性格も意識の度合いも違うんだから、自分の成功体験をただ伝えるだけ、喋りたいことを喋るだけではほとんど意味がない」という基本認識が不可欠です。
自分がつまずいたポイントよりももっともっと前のレベルでつまずいている人は多いし、自分が当たり前だと思っていることが当たり前になっていない人は多いのです。ここを理解するには経験と分析力、そして相手の立場に立って物事を考える姿勢が必要です。
ですから、「教える」能力を身につけるためには自分の固定観念を捨て去り、ゼロから学ぼうとしなければいけません。この姿勢が欠けている人は、どんなに学力があっても「教える」ことには向かないでしょう。
もっと言えば、「身につく」というのは「きちんと理解して自分自身のモノする」ということなので、きちんとした理解を伴わせず、ただ丸暗記させているだけでも「教える」とは言えないでしょう。
そうなると、「教える」ことと「学習の作法」は切っても切り離せない関係になるはずです。教える側が学習の作法に則って指導し、生徒に学習の作法を身につけさせることこそが、「身につく」ことにつながるからです。
「学習の作法」に則った指導が世のスタンダードになれば、必ず教育水準は劇的に向上します。私が自塾だけでなく、色んな学校や塾で教育改革に携わっているのは、世の教育を本当に「教える」教育に変えるためです。
また、「教える」ことは、たとえこの業界に身を置かなくとも社会に出てから必要になってくるものなので、大学生のうちに出来るようにしておくのがベストです。私が大学生を講師として採用し、教育しているのは、それも一つの大きな目的です。
適当にアルバイトをやって他業種より高い時給を貰い、そこで自分が「教える」ことが出来たという勘違いを起こしたまま社会に出てしまうと、恐ろしいことになります。そして、そうさせてしまうのは塾業界にも責任があります。アルバイトを雇う以上、彼彼女らを適切に教育するのも一つの義務ではないでしょうか。
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