三浦和義氏の逮捕と一事不再理の原則(4) - 刑事事件・犯罪全般 - 専門家プロファイル

羽柴 駿
番町法律事務所 
東京都
弁護士

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対象:刑事事件・犯罪

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(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月05日更新

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三浦和義氏の逮捕と一事不再理の原則(4)

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一事不再理原則は国境を越えないか

 しかし、このような外国判決があっても再度同じ罪について国内法で裁くことが許されるという考え方に対し、私は違和感を覚えます。
 現代社会は、人もモノもお金も、さらには情報も国境を超えて出入りするのが当たり前の時代です。人について言えば、観光客を初めとしてビザなしで自由に出入りすることを相互に認め合う国が増えていますし、ビジネスや学術目的の出入国も昔に比べれば遙かに大幅に自由に認められています。モノやお金は、自由貿易協定や投資協定などでこれまた昔とは段違いに自由な出入りが可能になっています。情報に至っては、インターネットの普及が事実上国境の壁を崩壊させてしまったと言えるでしょう。
 もちろん、国際社会が今でも主権国家により構成されていること、裁判のような重要な国家主権の行使は簡単には他国や国際機関には委ねられないこともまた認めなければなりません。
 しかし、一事不再理の原則が先に指摘したように全ての民主主義国家の共通の原則であることを考えるとき、現代社会のように国境がますます低くなる時代に、いつまでも外国は外国、うちはうちといった論理が通用して良いものでしょうか。例えば、今回のロス疑惑事件もそうですが、日本で裁判をするといっても事件が外国で起きている場合は、当該外国の警察など司法当局の協力なしでは十分な審理は出来ません。逆に、日本国内で起きた事件について被告人が外国の裁判所で裁判を受ける場合、日本側の捜査資料を提供するなどして審理に協力するのが当然でしょう(ブラジル人が日本国内で起こした交通事故について、日本側の要請によってブラジルの裁判所で審理されている実例が最近あります)。         (次回へ続く)