- 藤本 厚二
- 埼玉県
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
現政権が”TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る”と表明してから1年が過ぎた。市場開放に備えた農業の国際競争力強化などの環境整備も進まないまま参加の決断を先送りしてきた。そして、この年末から年初にかけ次期衆院選の争点がTPPであり、それを踏まえて「TPP解散」が取り沙汰されている。それぞれ賛否が分かれており、交渉のテーブルに着くかどうかが大きな争点になるかもしれない。(仮に着いたとしてどれだけの交渉力があるかどうかは別として)
世界では11カ国が交渉に着くとされ、今回アメリカでオバマ大統領が再選されたことにより、それはより一層加速すると考えられる。テーブルについたら最後逃げられないとする問題や、一方テーブルに着かなければ世界の流れから置いていかれるという、大きな決断になると思われる。それだけに、日本の国を挙げてこの問題を討議する二度とないチャンスと考える。日本国内ではTPPがどんなものか多くは理解できてないと思われる。
それでは、”TPPってなんだろう”という所から少し進んでみよう。
TPPは”環太平洋パートナーシップ協定”のこと。太平洋諸国の自由貿易協定です。
自由貿易ということで、関税は基本的に例外なく撤廃しなければなりません。
江戸時代に鎖国という制度が有り、日本は外国と一切貿易をしない時期がありました。
国内で全て賄われるあいだはそれで済んだけれど、諸外国の力が強く、文明も進んでいることが分かり、多くの学者や偉い人達は、進んだ文明文化・産業技術を受け入れようとしました。その結果、鎖国をやめ、外国との貿易を自由に行うことができる国になりました。
しかし、すべてを自由化するのでなく、一定の分野に限り制限を加えることにしました。
それが”関税”と呼ばれ、農業や産業の目玉となる部分を国で守ることとしました。これにより、海外の品物を購入する場合、日本国内の品物より幾分高くなり購入しづらくしてあります。これを保護貿易といいます。(最近では、国内製品より海外製品の方が安くなっていますが、これはまた別の機会に)
今回、この制限を一切なくすことが必要となってきたわけです。
それではこの制限をなくした場合(関税を撤廃した場合)どのようなことが考えられるのか
1)TPP参加国に輸出する際に関税がかからないので、輸出が有利になり、結果として日本経済にプラスになる可能性がある。
2)TPP参加国から入ってくる輸入品に関税がかけられないことから、保護貿易ができなくなる点。現在、日本では外国から入ってくる農産物に非常に高い関税をかけています。
よって、これが撤廃されると日本の農業に大ダメージを与えることになります。
このようにプラス面とマイナス面が大きく現れています。
中国や韓国もTPPに強い関心を持っています。いま日本がここで参加しなければ、両國ともに乗り遅れるとする考え方もあります。安全保障の点からも重要な要素を含んでいます。TPP参加により、日米関係をより強固なものにし、尖閣諸島や竹島問題をめぐって日中韓の対立に何らかの牽制になる可能性も秘めております。
大いに関心を持ちこれからの政局を見つめることが、国民として大事なことと考えます。
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