けんちくという仕事 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

増井 真也
建築部門代表
建築家
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けんちくという仕事

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けんちくの現場にて
私が小学校1年生まで生まれ育った家はそういえばぼっとん便所だった。小さな私にはもし落ちたら決してあがってこれないほどに深く見えた。くみ取り式だったので、実際に2mくらいの深さはあったと思う。年末に滋賀県の実家に帰ったときに妻の母が息子に手編みのセーターをプレゼントしてくれた。少しばかり遅れて滋賀県に帰った私は真っ先に息子の着ていたセーターに目がいった。決して上等ではないが何かが違った。一編み一編み手で編まれているちょっと大きな編み目が逆に新鮮だった。
今、住宅は大量消費社会の製品に成り下がり、その住宅の中ではやはり便利さを追求した消費生活が営まれている。
なぜそれほどまでに人は便利さを追求するのか。100年前、1000年前いつの時代に生きる人も現在の人もそれほどには変わらない。それに今の時代に生きている人の中にもこの日本を離れればいまだに私が知らないような時代の不便な生活を当然のように送っている人が何十億人もいるのである。
私が建築をやりたいと思ったのはなぜか、ふとそんなことを考えてみる。ものを一つ一つ積み重ねていくことに対する喜び。はじめはそんな程度のものだった。デザインとか流行とかに対する興味があったわけでもなく、またはやりの建築家という呼び名に対するあこがれがあったわけでもない。ただ自分の生き方として実体のあるものに関わり、実際の人間に関わり一つ一つものを構築していく喜びを味わいたいと考えていた。そしてそういう思いが現在も強く存在している。セルフビルドを施主に勧めるとき私はそういう喜びを味わって欲しいと願っている。たくさんの人がただ住むための箱を購入してしまう時代に私に頼んだ人たちだけには自分の家を自分で造る喜びを味わって欲しい。そんな願いを強く思っている。