困り者の場合・・。 - 新築住宅・注文住宅 - 専門家プロファイル

杉浦 繁
Atelier繁建築設計事務所 代表
愛知県
建築家
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困り者の場合・・。

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昔話をひとつ・・。


昔、とある傾斜地にそこそこの住宅の企画を依頼されたことがあります。
敷地は山肌にあるかなりの傾斜地で、高低差は10m以上ある土地です。

こういう土地は設計も工事もとても難しいですが、面白い!



そこで、一生懸命企画します。



そこそこの予算ではありますが、やはりこういった傾斜地では相当にお金がかかってしまいます。
それで、なるたけ無駄のないように土地自体や造成などには出来るだけお金をかけないように・・

何しろ造成で擁壁などいくつも作ろうもんなら、それだけで家本体よりお金がかかってしまいます。

造成はなるべくないように、傾斜を利用して家を段々に、地盤面を数枚作って階を2階にして・・

と考えに考えた案を提出しました。


これなら、価格も抑えられて住宅本体にかなりかけられます。


ところが、実はこの方、某○○ハウスに傾倒していた。
○○ハウスで難しいと言われたので、うちに来た。

で、うちの案見て・・出来るじゃん!と・・
また○○ハウスに依頼した。

まあ、よくある話しなんですが。


うちは企画倒れ・・
別に怒っているわけではないんです、こちらとしては、ようするに負けたってことです。


しばらくした頃、某工務店がやって来ました。
造成・開発なんかの設計申請をやってほしいと・・
傾斜地をコンクリートの擁壁で段々にする造成工事を請け負ったからと。

そこにメーカーがメーカー住宅を建てるのだそうで・・

見ると、凄い傾斜地で、高さ5~6mもある巨大なコンクリート擁壁を段々に配置して平らな土地を作って、そこに住宅を建てる計画なようです。
工務店は造成だけを概算見積もり2000うん百万で請け負ったそうで・・


こんな凄い造成工事、そりゃあそんくらいはかかるだろうな・・
設計申請料にしたって100万やそこらじゃとても無理だな・・

高っけー!

それにしても・・
なんかこの土地見たことある気がする。


あ・・


これ、あの土地じゃん!

丁重にその仕事はお断りいたしました。
余分な2000うん百万・・。

予算があのままなら上の家はいったいいくらよ?





またまた昔話をひとつ・・


あるお客さんの家を建てたときの話し。


そのお客さんがなぜうちに来られたのかというと・・
土地が困り者だったからなのです。
三角形の変形した変な形の土地だったんですね。

ただ、ご両親から譲り受けた大切な土地だったんです。


ところが、うちに来られたとき、その土地に建てようと決意されてからもう何年もたっていたんです。

なぜかというと・・


住宅メーカーに断られまくってきたから。

いや、ちょっと違う・・

当初、何もわからないそのお客さんはとりあえず住宅展示場に行ったのだそうです。
気に入った住宅メーカーに土地が困り者なのですがと相談したら・・


何の問題もありません!
と、言われたそうなのです。


そして、さんざん企画を繰り返して・・
仮契約しようしょようと言われ・・
仮契約した。


親御さんから譲り受けた大切なその土地・・
ある日、突然電話が掛かってきて・・

「いい土地が見つかりました!」と。


何の話かわかりゃせん?


そして、全然知らない近くの新興団地につれていかれ・・
あの土地買い取って売ってあげるから、この土地買いなさい。
そこにこれを建てましょう、と・・


言われたんだそうです。


仮契約をした後で・・


出来ないなら最初からそう言やあいいのに。


そのお客さん違約金をなんぼか払って・・

さらに何社か似たような目にあって・・
うちにいらっしゃいました。


たしかに難しい土地でしたけど・・
いい家が出来ました。







そうそう・・

あんまりご存じない方が多いようですが・・
市街化調整区域の住宅建築というのは、とても難しい物です。
難しいと言うより、特殊な用件を満たしていなければ、できない。

本来、都市計画法により市街化調整区域内では、その土地で農業などの第一次産業に従ずる方以外は店舗や医療施設などのその土地に必要と認められる施設以外の住宅などの建築行為は一切認められません。


たとえ、廻りにはたくさん建物が建っていて、町になっていたとしても・・
市街化調整区域であれば普通に住宅を建てることは法律で禁じられているんです。


ようするに、市街化することを抑制するための地域で、田圃や畑なんかを残す地域ってこと。


ですから、市街化調整区域の土地というのは、とても安価です。
ま、田圃ばっかですから。


そんな市街化調整区域ですが、そこに元から住んでいらっしゃる方なんかもいっぱいいるわけです。
田圃をやっていらっしゃる方はそこに住まなければならないんです。


そんな方たちも今の家が古くなったら建て替えたり・・
息子が大きくなって結婚したら、増築したり・・
しなければいけないわけです。


既存宅地とか、分家住宅とか、農家住宅とか・・
そういったちょっと難しい法律を使ってそういう家を建てることはできるのですが・・

ただ、そのことを申請で証明をしなければならない。


だから、都市計画法の建築許可はたいへん!


そう、市街化調整区域での建築は難しい・・
これに、開発許可やら農地法やら排水同意やらがけ法やら市条例やらかかってくると・・
田舎ではこういった他法令のかかることが多いんです。


もう、これは設計事務所以外では手に負えません。


そういう許認可申請だけをやっている設計事務所なんてのもたくさんある・・くらい。
申請代行料で何十万円もとる。
そう、そんなにお金が取れるほど大変な仕事・・


そうなんです・・


そういった所に建てる家の場合、みーんな設計事務所に難しい申請を頼みにくるんです。



だったら、最初から全部設計事務所に頼めば安いのに・・

なんて思うのは私だけなようです。




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