- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:新築工事・施工
住宅を建てる際のこと。
設計が終わると、申請をして・・
許可が出たら着工します。
着工すると・・
工事が始まるわけで・・
実際に基礎が出来て、柱や梁が建って、屋根がかかって、壁が出来て、内装が出来て、と工事が進んでいきます。
実際に「物」が出来てくるのを見ているのは、それは嬉しいものです。
これまでは、あくまでも頭の中で想像するしかなかった建物という「物」・・
それが目の前に形として現れてきます。
これは、本当にうれしいですね・・
私でもうれしいですもん。
そんな出来ていく家を見ていると・・
ああ、あそこはこんな風だったのか。
そうか、ここはこんなに広いんだ。
などと、本当にわかってくる。
その形が・・
すると人は・・
「変えたくなってくる」のです。
ここに棚があると便利だな、とか・・
この部屋は思ったより広いからあっち側に広げたいな、とか・・
なんか、この柱、思ってたより邪魔、とか・・
もちろん、何も「変えたくなる」のは工事中には限りません。
設計が終わり、申請を出して・・
なんかずっと見てたら「変えたくなる」。
設計士さんや営業さんに・・
「ここからは、もう変えられません。よろしいですか?」
なんてと言われると・・
「どこまでは変えられるんですか?」
だから!
「変えられない」って言ってんじゃん・・
この、「変えたくなる」のはなぜなのでしょう?
あんなに何日も何ヶ月もへたしたら何年も考え抜いてきたのに・・
こんなにいろいろな案や雑誌やネットで研究して決めたのに・・
それは・・
時間。
我々の建てる住宅の場合工事期間は、木造でも半年はかかります。
大工さんに頼んだ家ならもっとかかります。
メーカーハウスでも3~4ヶ月はかかります。
そう、家を建てるのには長い時間が掛かるからです。
長い・・
暇だ・・
何か見よう・・
誰かに聞いてみよう・・
こんなのもあったのか・・
これもいいじゃないか・・
気が変わった・・
そう、長い工事のその間、楽しみに見に来る以外にやることがない。
設計中はいっぱいいっぱいいろんなことを考えなければならなかった・・
でも、工事が始まってしまうと・・
暇なのです。
ですからキッチンやユニットバスなどの機器決めや、材料決め、色決め、などなどやショールーム廻りなどは工事に入ってから行った方がよい・・
と思っているのですが。
ようするに工事の間にお客さんにやることを作ってあげる。
住宅メーカーなどの場合は、ほとんどもう工事前に決まってしまっていますから・・
現場には入らないで下さい、となるのです。
実はこの「変えたくなる」というのは、設計中においては・・
「変えたくなる」とはなりません。
「要望」をお願いするだけのことになります。
こうしたい、と言われればそれは要望ですから、それは必ず設計に反映されます。
ただ、家を建てるという業務の中においては、基本的に「要望」をお願いするのは申請を出すまで・・
あるいは、その内容によって構造体の変更がある場合は、構造計算を始めるまで・・
それ以降は、「要望」は要望とはならず、「変えたくなる」ことになってしまいます。
そして、本来的にはそれ以降、変更は出来ません。
残念ながら・・・
姉歯さんがとんでもないことをしでかしてから、構造や申請は非常に厳しくて、あとからコロコロ変更することなど決して出来ないのです。
ただ、それもなんもかんもというわけではない。
何は出来て、何は出来ないのか?
そこが難しい所なのです。
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