家族の形、家の形 - 二世帯住宅 - 専門家プロファイル

宮原 輝夫
宮原建築設計室 
東京都
建築家
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家族の形、家の形

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手前味噌で恐縮ですが、数年前から「都市の拡大家族の家」というコンセプトで住宅群を設計しています。もっともまだ4作目なので群というには少々大袈裟ですね。もちろん始めからそんな大層な名前があったわけではありません。いえ正確に云うと、「都市の拡大家族の家」を設計している事すら自分では意識していませんでした。振り返って初めてそこがスタート地点だと判った様な次第です。


・拡大家族とは?
ところでこの聞き慣れない「拡大家族」というのは何でしょうか。アメリカの社会学者マードックさんが家族の形態を考える際、核家族と拡大家族に分類したのが始まりで、親子や兄弟姉妹を通して複数の夫婦から構成される家族を指すものです。現在でも農村部だったら一般的な家族形態かもしれません。今でこそ核家族はごく普通になりましたが、当時は逆に特殊な家族形態だったわけですから、こんな分類が必要だったのでしょう。現在では様々な家族形態が表れ、単身者、同棲家族、一人親家族、などなど数え上げたらきりがありません。核家族という分類も、もともとは夫婦(収入は夫のみ)と未婚の子供の家族を典型としますが、子供のいない共働き夫婦(DINKS)や子供のいる共働き夫婦(DEWKS)など多様な形態が一般化し、本来の定義からは離れてきているのが現状です。


・都市の拡大家族の家
話しを戻しましょう。私にとって最初の「都市の拡大家族の家」は東京の下町にある新築計画でした。施主は親世帯+子世帯ご夫婦×2組の3世帯。もともと別々にお住みだったのですが、親世帯の土地に住宅を建設し同居されるということでした。
さて、「都市の拡大家族の家」にはどんなプランが必要なのでしょうか。伝統的な拡大家族なら大きな主室と個室群で良いのでしょうが。都市でのライフスタイルにはどうもピッタリ来ません。
結果として、機能に応じて世帯間を複雑に結びつけるプランを考えました。内部と内部でつなぎ、また外部を通じてつなぎ、またある所では完全に分離させました。両子世帯間には共有でこどもの遊び場を配置。さらに多くの要素を一戸の家として機能させる為に、各家庭を飛び越えて同じ建具を18枚連続で配置するなど、素材、形状での統一感を取り入れました。後年(もし必要ならですが)子世帯のため土地建物を2つに完全分離出来るよう配置や構造を考慮しました。もちろん分離後、それぞれの建物を各種法規に合致させることも忘れませんでした。こうして「都市の拡大家族の家 #1」が完成したのです。


・これから
このプロジェクトの後、続けて数件の拡大家族の家を設計する機会を得ました。どのお宅も農村部ではなく都市部、それもかなりの住宅密集地にあるということ、経済性・利便性の向上を目的とすることなど共通の要素が多数見られました。その中で特に強く意識させられたのは、昔ながらの大家族の様に同居するのではなく、個の意識を持ちながら一緒に暮らすことを前提としていることでした。核家族化を経験した後だからこそ生まれる家族観なのでしょうか。
もしかするとコーポラティブやコレクティブ・ハウジングの一種とも捉えることが出来そうな「都市の拡大家族の家」、今はまだ少数派の形態ですがこれからどう変化していくのか、ちょっと興味を持って見ていきたいと思っています。


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