- 増井 真也
- 建築部門代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
川口市にて設計中の家スタディー。
一人暮らしのためのこの住宅では、柱を均一のグリッドに落とし込み、真壁工法で表現することにより、柱を森の木々に見立てたような表現をしたいと考えています。ワンフロアーの中にガラスで仕切られた中庭が配置され、小さな木が植えられる予定です。
床のレベルと庭のレベルはなるべくフラットに仕上げ、床から庭につながる間には那智黒などの自然石で縁を切ります。部屋の中にオブジェのように置かれた浴室などの水廻りはモルタルで造作します。フロアリングや天井に使われる無垢材、モルタル、那智黒、漆喰、・・・この住宅にはなるべく人工的な素材は使わないようにし、外部から柔らかく仕切られた心地よい生活空間を目指しています。
写真はレーモンドの設計による旧井上房一郎邸であるが、この住宅の柔らかさは未だに脳裏に焼きついています。この住宅にある素材の吟味のされ方は、決して贅沢な素材ではないですが、いやらしさをまったく感じさせない凛とした統一感があります。その統一感が全体を包み込む柔らかさを作り出しているのだろうと思います。