漆喰とは何か? その2 - 長寿命・200年住宅 - 専門家プロファイル

鈴木 克彦
株式会社マクス 代表取締役
建築家

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閲覧数順 2024年04月26日更新

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漆喰とは何か? その2

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自然素材の家

現在外壁に使っている漆喰は、オーストリアの伝統あるメーカー「デュリンガー社」の漆喰です。

写真は、実際にオーストリアで撮影した物で、白と黄色の物は、漆喰の外壁です。

25年間ノーメンテナンスの南側の壁面だそうです。
新建材で25年間ノーメンテ…あり得ないです。

もう一枚の写真は、新しいパン屋さん。
漆喰ではない新建材の左官仕上げの建物ですが、ずいぶんと汚れています。


これには、ちゃんと理屈があります。

私が使っているデュリンガー社の漆喰は、100%の漆喰。
そう、前回のコラムで言えば、100%水酸化カルシウムです。
(表情を出すために、細かい砂は入っていますが、これはあくまでも素材感を出すためのツブツブで、藁を入れるのと同じです)

つまり、完全に無機質です。

通常の新建材の左官材には、合成樹脂などの有機物が含まれますが、これはいわばビニールなので、静電気を帯びます。
  ↓
そうすると、埃などの汚れを自分で吸い付けます。
  ↓
くっついた有機分を元に、苔が生えます。
  ↓
苔を食べる小さな虫が来ます。
  ↓
それを食べる蜘蛛が巣を張ります。

だから、100%の漆喰の方は、汚れていなかったんですね。

 

ヨーロッパで漆喰と言えば有名なのが、フレスコ画。

フレスコ画とは、Wikipediaによると、
『フレスコは、まず壁に漆喰を塗り、その漆喰がまだ「フレスコ(新鮮)」である状態で、つまり生乾きの間に水または石灰水で溶いた顔料で描く。やり直しが効かないため、高度な計画と技術力を必要とする。』
とあります。

フレスコ画も漆喰の100%無機の石灰と顔料を使用します。
つまり、フレスコ画などの美術品は「簡単に補修できない・しない」ということです。
色はもちろん薄くなっていますが、この状態が残せるということが本物の良さなのです。

だから私は、100%にこだわって、漆喰を選んでいます。
要は長持ちするから。
ただ単に、偏狭的に自然素材信者、と言うわけではないのです。
これらを踏まえた上で、やっぱりビニールクロスが良い、と言う方に、そんなの偽物だ!何て言うのは横暴以外の何ものでもありません。

ついでですが、漆喰にしても、珪藻土にしても、なぜみんな合成樹脂が入っているのか…?

答えは「ヘアークラック」です。

「クレームだぁ!ただでやり直せぇ!」
って言われたら、誰だって嫌です。

このヘアークラックの防ぎにくさは、100%の漆喰の弱点とも言えます。
だから、合成樹脂入りの、ひび割れしない物が多いわけです。
安いし。

ですが、施工中は換気しないと臭いし、施工後も、ライターであぶるとゴムの焼ける刺激臭がします。
もはや自然素材とは言えないと思います。

この事実を説明した上で、
「どっちが良いですか?」
と選んでもらうのがプロの仕事では? と思います。
(続く)

 

   施工:株式会社マクス   代表取締役 鈴木克彦ブログ: 【頑張れ四代目日記】

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