- 清水 圭一
- 日本クラウドコンピューティング株式会社
- 東京都
- IT経営コンサルタント
対象:ITコンサルティング
日本クラウドコンピューティング株式会社の新井です。
3月11日に発生いたしました三陸沖を震源とする「東北地方太平洋沖地震」により、多くの命が失われことに対し、深くお悔やみを申しあげます。
また、一人でも多くの方の命が救われるよう、併せて被災に遭われた方々が元の生活を取り戻せるよう、一日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。
当社が出来ることは非常に微力ではありますが、被災した、あるいは有事に備えようとしている中小企業経営者や従業員の方々に対して、クラウドコンピューティングを中心としたICT(Infomation & Comunication Technology)の災害時の活用法をお知らせするのが責務と考え、頑張っていきたいと思います。
さて、今回の大地震での教訓を踏まえて、中小企業経営者にとって、どのように災害対策、業務継続計画(BCP Business Continuance Planning)を策定すればよいかを、ICTの観点から、今後、数回に渡ってお話させていただきます。
中小企業は大企業のように大掛かりな災害対策システムを持つことが出来ません。また、多くの場合、特定地域のみを営業地域としているため、他の支店などからの支援は期待出来ないという特徴があります。
このことを前提に、今日は、大地震などの有事発生時、業務を継続する為に、普段からできる対策をお話させていただきます。
最初は、中小企業のICTの要でもある、パソコンです。
皆様の会社ではノートパソコン、デスクトップパソコンのどちらかで業務を行っているかと思いますが、BCPを考えるとノートパソコンを業務用パソコンにしておく事をお勧めしています。
以前ですと、デスクトップパソコンは、購入後、ビデオカードなどの拡張性が優れているということがメリットでしたが、パソコンの性能が向上した現在では、その必要性も薄れてきています。
また、持ち運びが出来るが故、盗難などのリスクがありますが、これも専用の盗難防止ロックもありますので、防ぐことが出来ます。
ですので、今では、余程の事情がない限り、デスクトップパソコンを購入するメリットがなくなってきています。
それでは、単純にノートパソコンを業務で使えばいいのかというと、そうではありません。
実際に、何か災害が起こった時に、それだけでは使うことは出来ません。
実際に普段から、そのノートパソコンをモバイルで使うことを前提とした活用の仕方をしなければなりません。
そのことが、万が一の災害の際に、オフィス以外の場所で、社員一人一人が業務を継続することが出来、業務だけでなく、そのパソコンが社員同士、あるいは家族との通信手段にもなるのです。
最近のノートパソコンには、無線LANをする機能が搭載されている場合が殆どです。
この無線LANの機能があれば、被災した際に、公衆無線LANのアクセスポイントが近くにあれば、インターネットを使ってメールをすることが出来ますし、Skypeというインターネット電話ソフトを使って、Skype同士、あるいは一般加入電話、携帯電話、国際電話もすることが出来ます。
特に今回の東北関東大震災では、地震発生直後、殆どの携帯電話で通話をすることが出来ませんでしたが、Skypeだと、一般加入電話に電話をすることが出来ました。
つまり、携帯電話が使えない状況であっても、ノートパソコンさえあれば、もう一つの通信手段を確保することが出来るのです。
公衆無線LANも、今回の大震災直後には、FONやBBモバイルポイントが、無料で開放されましたし、もし、無線LANの電波を見るけることが出来れば、その管理者の方や家の方にアクセスキーを教えてもらえば、使うことも出来ます。
さらに、この公衆無線LANを、非常時に備えて契約しておく方法があります。
これは、WiMaxという高速公衆無線LAN通信のサービスなのですが、月額4000円前後が掛かります。しかし、専用通信機器だけ購入しておけば、利用したい時だけ、1日600円前後の値段で使うことが出来るのです。
つまり、維持費用が掛かりませんので、出張時や万が一の時のみに備えて、WiMax通信機器だけ持っておくというのも、一つの方法だと思います。
また、ノートパソコンにはバッテリーが搭載されていますので、機種にもよりますが数時間、電源がなくても使うことが出来ますし、USB経由で携帯電話などの充電も行うことが出来ます。
しかし、これらの方法は、いつも使っていないと、災害に時に使うことが出来ませんし、使おうともしないものです。
ですので、普段から下記のような使い方をする必要があります。
1.ノートパソコンを全社的に導入したら、普段から無線LAN接続でパソコンを利用する。
2.会議などはすべて事前にメールで配布して、プリントアウトを禁止したペーパーレス会議を行う。
3.遠隔地との打合せはSkypeのビデオ会議を行う
4.在宅勤務を奨励し、会社利用のパソコンの持ち帰りを許可する
5.直行直帰を全部門に導入し、その代わり、出先から公衆無線LANを利用した報告書提出、メール返信などを促す
つまり、災害時に備えて、そのスタイルを通常の業務で取り入れていくことが、有事の際に役に立つのです。
本日も計画停電で一部の地域で電気が使えなくなることが予想されますが、このような時でも、重要、緊急の業務や連絡を行えるようにしておくことが、経営者としての責務ではないかと思います。
このコラムに類似したコラム
データの消失を絶対に防げ!中小企業におけるITシステムのBCP 清水 圭一 - IT経営コンサルタント(2012/03/23 08:00)
大災害に遭っても会社が滅びない最低限のIT災害対策セミナー 清水 圭一 - IT経営コンサルタント(2012/03/08 08:00)
東北関東大震災へ、売上 10パーセント相当額を義援金として寄付 清水 圭一 - IT経営コンサルタント(2011/03/31 04:23)
中小企業のユニファイドメッセージング 電話とPCの融合! 清水 圭一 - IT経営コンサルタント(2010/09/24 07:00)
中小企業のユニファイドメッセージング FAXをなくそう! 清水 圭一 - IT経営コンサルタント(2010/09/21 07:00)