9月に入ったとはいえまだまだ暑い日が続いていますが、おうちのワンちゃん、ネコさんは元気に過ごしているでしょうか。
暑いシーズン、特にワンちゃんは皮膚病が増え、痒みやフケなどの症状が出る子が多いです。
そんな中、ワンちゃんのシャンプーを日常生活として、あるいは治療行為としてすることも多いと思いますが、皆さん正しいシャンプーの仕方をご存知ですか?
実は結構シャンプーの方法が間違っていて、より症状を悪化させてしまうことも多いのです。
今回はそんなワンちゃんのシャンプーの仕方について、書いてみましょう。
注意1 お湯を使わない
皆さん人間のシャンプーのようにお湯を使っていませんか?
ワンちゃんの体を洗うときは25℃から30℃。
つまりほぼ水です(プールの水くらいでしょうか?)。
人の体温よりも低い温度ですから、触って「あ、人肌だ」と感じたらもう熱いわけですね。
特に何らかの皮膚疾患で痒みがある子は温かいお湯で洗うと血行が良くなり、洗った後余計かゆくなったりします。
ちなみに、私もアトピーなので、皮膚科の先生に39℃以上のお風呂に入らないよう言われています。
「え!?水なんて冷たくてかわいそう!!」とか思った方いませんか?
日頃雨に打たれることはあってもお湯に打たれることはないワンちゃんやネコさん。
「え!?お湯なんて熱くてかわいそう!!」と思ってあげてください。
ただこれはあくまで一般論。
その子の皮膚や、心臓などの全身状態にもよりますので、一度主治医の先生に何度のお湯で洗うとよいか、聞いてみるとよいでしょう。
注意2 人間のシャンプーは使わない
エコとか言って人間のシャンプー使ってないですか?
人間の肌は弱酸性。
ですから、人のシャンプーもそれに合わせて弱酸性のものが多いのです。
これに対しにワンちゃんの肌は中性。
ですから中性の肌に、弱酸性のシャンプーは刺激が強すぎてダメ、ということになるわけですね。
ちょっと大げさに言うと、中性肌の人間を塩酸や硫酸で体を洗うようなもの、きっとしみますよ(しみるだけでは済まないかもしれませんが)。
注意3 必ず2度洗いする。
特に毛のある犬種は(まあほとんどでしょうが)絶対です。
人間でも一回目のシャンプーではあまり泡立たず、二回目のシャンプーで景気良く泡立ったりしますよね。
ワンちゃんの場合も一回目のシャンプーでは毛についたタンパクなどの汚れを落とすだけで精いっぱい。
2回目のシャンプーで皮膚をきれいに洗う必要があります。
注意4シャンプーはすぐには流さない。
特に治療目的で薬用シャンプーを使っている子はなおさらです。
すぐに洗い落しては薬効効果も何もありません。
できたら15分くらいはシャンプーを洗わずに置いておきたいですね。
でも、これがなかなか難しい。
ワンちゃん泡まみれで15分。これはじっとしてないです。
そこで、汚れやすい場所(お腹や陰部周りなど)、あるいは皮膚病の治療目的の場合は症状のあるところを先に洗い、そのあと順に他の場所を洗っていき、最後に頭や尻尾などのそんなに入念に洗う必要のない場所を洗いましょう。
こうすれば、全身洗い終わったころには最初に洗った場所は少なくとも15分くらいたっているはずです。
注意5 あんまりしょっちゅうシャンプーしない
通常のシャンプーはせいぜい月に1回か多くて2回、それ以上は逆に皮膚の皮脂を落としすぎて肌荒れのもとになります。
毎日洗っても問題ないようなシャンプーもありますし、治療目的で薬用シャンプーをまめに使ってもらうこともありますが、あれは特殊なもの(毎日使っても問題ないシャンプー)です。
基本的には、月1回か2回、何かの原因で派手に汚れちゃったときに追加する程度です。
注意6 ドライヤーを使わない。
家庭用のドライヤーは、熱風では皮膚が乾燥しすぎて肌荒れのもと、冷風は寒すぎて風邪をひいてしまいます。
トリマーさんなどが使っているドライヤーは風の勢いは強いですが、そんなに熱くも寒くもないものらしいので別ですが、自宅で洗うときは必ずタオルドライで乾かしましょう。
タオルを2,3枚使ってできるだけ水分を取り、あとは自然乾燥。
ただ、真冬でタオルドライのあと外に出せば間違いなく体を壊しますので、寒いシーズンは23~25℃の暖かい部屋で、乾くまでは外に出さないようにしましょう。
どうでしょう、皆さん正しいシャンプー方法で洗っていましたか?
何らかの基礎疾患(内臓疾患など)をもっている子などは、また各々主治医の先生に相談したほうがよいですが、意外と知らないものでしょう?
大事な家族とはいえ、体の構造が違う別の生き物ということは忘れてはいけません。
人間には人間の、ワンちゃんにはワンちゃんのシャンプーや食事があるのです。
このコラムの執筆専門家
- 沖田 将人
- (富山県 / 獣医)
- アレス動物医療センター センター長
地域に密着したワンランク上のホームドクターを
アレス(Alles)とはドイツ語で「あらゆること」を意味します。インフォームドコンセントの充実、年中無休、CTスキャナ導入など動物たちの幸せにつながることなら、飼い主様のあらゆる要望にお応えしたい。そんな願いを込めて診療に取り組んでいます。
このコラムに類似したコラム
かかりつけの病院の見つけ方 しすい ことね - 獣医(2022/05/20 15:59)
意外と見つけにくいノミの発見方法 沖田 将人 - 獣医(2011/07/16 23:22)
梅雨といったら外耳炎 沖田 将人 - 獣医(2010/06/07 00:11)