- 林田 浩一
- 林田浩一事務所 (KHO Design and Business) 代表
- 神奈川県
- 経営コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
◆最近良く聞く話題は・・・
最近TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを通して、今まで以上に、新しい出会いとリアルでお会いする機会が増えてきました。
例えば、私がTwitterのタイムライン(TL)上に集めている(フォローしている)人たちは、何らかの「つくる」に関係しているということを自分の基準にしているので、お会いすると経験業界が異なっていても色々と話も拡がります。
そうやって色々な方と話していると、ある点で共通の話題が出てきます。それは外部の事業環境が変化して、自分たちも変化していかなければ衰退するだけなのに、変わろうとしない企業は意外と多いという話です。それも特定業界の話しではなく、何だかどの業界にも散らばっているんだなぁという印象です。
外部の経営環境が変われば、その変化の中での自分たち(自社)の強みが活かせる分野を考え、そこに合わせて戦略を整え、というように変化をしていかなければならない。マネジメント関連のビジネス書などの『SWOT分析』と同じ基本的なこと、・・・のはず。
ところが、前段の話しではないですが、変わるべきタイミングなのに変われない、変わろうとしない、という企業が実はさほど珍しくない(あるいは多い)のでないか、と以前より感じるようになりました。ただ、この「以前より」の主な理由は、急に世の中が何か変わったのではなく、Twitterなどを利用するようになって、これまで以上に色々な方と意見を交わすことや、リアルな場でお会いして話をすることが増えたからというところにありそうです。そういった面では、ソーシャルメディアは今や情報収集のインフラとなりつつあるのを感じます。
◆変わりたいけれど変われない、ではなく『変わらない』と決めている?
この『変われない』は、私自身が仕事で関わる中で最近見聞きしたものや、ディスカッションした中でも、伝統工芸の職人さんたちから中小製造業まで、と様々な業界でも共通している感じがあるのは確かです。
それはまるで『皆で新しいことをやらない』を頑なまでに自分たちで決めているかのような思考パターン。場合によっては、仲間内での“抜け駆け”を相互監視しているような関係にさえ見える業界団体がセットだったり。そういった状況になっている公式・非公式な業界の団体や集まりからは、顧客起点の商品やサービスが生まれることは期待が薄そうなので、今やその存在の意義はないのかもしれません。
今までと同じことをやっていたのでは、緩やかに絶滅へと向かうだけという環境の中に居るはずなのに、これまでと同じ行動をとることを最優先にしている。この様子は、大前研一氏が以前の著書の中で「茹でガエル」現象と表現していた状態とまさしく同じです。
結局のところ、変わるべきときに『変われない』ではなく『変わらない』というのであれば、閉塞感や上手くいかない原因を作っているのは、景気が悪いせいでも、海外からやってきた新しい商品やサービスのせいでもなく、自分自身なのだとつくづく思います。
では、環境の変化に合わせて変わっていくことができる企業体質となるには何が必要なのか。当然魔法のような解決策がある訳ではなく、まずは経営資源の中に自分たち(自社)で決めることができる要素をできるだけ多く持つということです。
◆ネットワーク化、プロジェクト組織化の時代をソーシャルメディアが後押しする
日本の企業の殆ど(99.7%くらいだったと思いましたが)を占める中小企業の場合、特に製造業では下請け業務のみという企業も珍しくありません。しかし、自分で決めることができる要素を出来るだけ多く持つ、という視点からは下請け業務しかないという状態はやはり危険なのだと思います。受注を始めとして商品・価格・販売チャネル・・・自社で決めることができる要素はほとんどないのですから。
下請け業務だけでなく、自社が持つ技術やノウハウを活用・拡張する方向で、新規事業や新分野の商品開発を新たに行おうとすると、中小企業では足りないものが多くあるのは当然のこと。足りないものは連携や協業で補えばいいのです。
これからは、同じ業界内のネットワーク以上に、サプライチェーン全体に跨るネットワークへ注視した方が良さそうです。つながりを誘発させるツールとしてソーシャルネットワークを上手く活用し、既にそういう方向で動き始めている様子も見掛けますし、ネットを活用して協業ネットワークのハブ的な存在となろうという企業も出てきています。
『ソーシャル後』の環境下では、つながったり、必要な相手を巻き込んだり、ネットワークをまとめたり・・・等々、戦略においてもマーケティングにおいても、企業規模よりもクリエイティビティの差が市場への影響力の差へとなりやすくなる分、中小企業にもチャンスがでてきます。
【停滞や閉塞感の原因は自分自身】となっている場合ではありません。
林田 浩一
( Twitter: http://twitter.com/k_hayashida )
※本コラムは、私のブログ 『ドリームにこそバリューがある』 の記事より、再構成したものです。
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