行政から強まっている事業系廃棄物の削減要請(その1) - 企業のコンプライアンス - 専門家プロファイル

尾上 雅典
行政書士エース環境法務事務所 
大阪府
行政書士

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対象:企業法務

村田 英幸
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閲覧数順 2016年12月08日更新

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行政から強まっている事業系廃棄物の削減要請(その1)

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廃棄物管理の基礎知識 排出事業者の責任

タイトルには、「要請」と書きましたが、現実は「強制」なのかもしれません。

大阪日日新聞 ごみの大幅減量達成 大阪市「市民の意識高まる」

大阪市は25日、2009年度のごみ処理量を発表した。処理量は118万トンで08年度に比べ17万トン(13%)減 り、処理量が過去最多の217万トンを記録した1991年度以来、最大の減量幅となった。市は減量の理由として、景気低迷の影響で事業系ごみが減ったこと に加え、リサイクルに対する市民の意識が高まったことなどを挙げている。

記事では、事業系廃棄物は、景気低迷の影響で「自然に」減少したかのように書いていますが、実態はそうではありません。

もちろん、事業系廃棄物の発生量自体も減っているのですが、
大阪市の場合は、2009年度から、廃プラスチック類などの産業廃棄物を、一般廃棄物に混入させるのを禁止し始めました。

そのため、事業系廃棄物が減少した背景の説明としては、「減った」ではなく、「(強制的に)減らした」の方が正確です。

ただし、「減らした」とは言っても、大阪市の焼却場に持ち込まれる廃棄物の量が減っただけで、大阪市が受け取り拒否した廃棄物は、産業廃棄物として 民間事業者が処理していますので、日本全体のマテリアルフローで見れば、景気変動を除くと、廃棄物の発生量は変化していないことになります。

ではなぜ、元々大阪市は、産業廃棄物の焼却を引き受けてくれていたのでしょうか?

大阪市が焼却していた産業廃棄物は、
産業廃棄物といっても、「廃酸」や「廃アルカリ」のように注意が必要な廃棄物ではなく、
会社の中で従業員が廃棄したPETボトルや、弁当ガラなどの、一般廃棄物と同様の性状を持つ産業廃棄物のみです。

「PETボトルは産業廃棄物じゃなく一般廃棄物だろう!?」
と思った方が多いかもしれませんが、廃棄物処理法上は、企業活動という事業の一環で排出されたプラスチック製品である以上、産業廃棄物の「廃プラスチック 類」と定義づけられます。
廃プラスチック類には、発生源の業種限定が無いため、「事業活動によって発生した廃プラスチック=産業廃棄物」になります。

元の質問に戻って、大阪市や他の自治体はなぜ産業廃棄物を引き受けてくれていたのか?

その答えは、廃棄物処理法第11条第2項に書かれています。

(事業者及び地方公共団体の処理)
第11条  事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。
2  市町村は、単独に又は共同して、一般廃棄物とあわせて処理することができる産業廃棄物その他市町村が処理することが必要であると認める産業廃棄物の処理 をその事務として行なうことができる

条文を見るとわかるように、
市町村は行政サービスとして、産業廃棄物を一般廃棄物と一緒に処理してくれていただけです。
「一般廃棄物とあわせて・・・」の部分を取り、このような処理を「あわせ産廃処理」と通称されることが多いです。

赤字の できる という部分が根本的に重要です!

あわせ産廃処理は、市町村に産業廃棄物処理を義務付けるものではなく、市町村が地域の実情に配慮して、一部の産業廃棄物を処理する根拠づけをしてい るだけです。

大阪市の他、横浜市や京都市など、政令指定都市レベルでは、多くの自治体があわせ産廃処理の中止を実行しています。

まだそれほど大きく報道されていませんが、あわせ産廃処理の中止は、廃棄物処理コストの増加に直結する大きな原因です。
市町村の廃棄物処理単価は、民間事業者と比べると、安いことがほとんどです。
いきなり市町村という安い廃棄物処理先を失うリスクを、少し注意深く考えてみることが必要なのではないでしょうか。

今回の題材はすべての事業者に関係する重要な話ですので、2~3回に分けて連載していきます。