刑事裁判の有罪率99.9%は異常か? - 書類作成・申請 - 専門家プロファイル

今林 浩一郎
今林国際法務行政書士事務所 代表者
東京都
行政書士

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刑事裁判の有罪率99.9%は異常か?

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日本の第一審有罪率は99.9%(事実上世界一)であり、これは検察官により起訴された事件の1000件に1件しか無罪とならないということを意味します。もしこれが日本だけではなく先進諸国でも同様であればそれほど違和感はないことでしょう。しかしながら、先進諸国の第一審有罪率の平均は約70%、陪審員制度を採っているアメリカにおいては78%であり、日本の第一審有罪率99.9%という数値は先進国の中でも特異な数値であることがわかります。http://blogs.yahoo.co.jp/marvellous157/GALLERY/show_image_v2.html?id=http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/13/06/marvellous157/folder/254574/img_254574_4977326_0?1276946072) 主要国の暴力犯罪の有罪率比較統計。

 

この点、先進諸国の刑事法学者の多数も疑問を抱いています。また、時々報道されるように米国政府が自国兵士を日本の刑事司法に委ねることを躊躇する一因もこの点にあると思われます。ところで、以前に法科大学院に在籍していた時に、米国政府からも重用されている米国アメリカン大学ロースクールの教授Jeffery Lubbers氏にこの問題に関する質問したところ、苦笑して「99.9%の有罪率は旧ソ連の裁判所並みだろう・・・」とのご意見でした。

 

 この点に関し、ハーバードロースクールのJ. MARK RAMSEYER教授とインディアナ大学ビジネススクールのERIC RASMUSEN教授は、日本の裁判所の異常に高い有罪率に関し、共同論文「Why Is the Japanese Conviction Rate So High?」(英語論文)(http://ideas.repec.org/p/wpa/wuwple/9907001.html)の中で、「検察官が過度に人手不足であるので最も有罪になる可能性が高い事件のみを起訴し、裁判官は明白に有罪になる被告人のみを裁判していること」及び「裁判官は行政府により再任されるので無罪判決を出した裁判官はその後の出世において不利に扱われ、裁判官は事件を有罪にするように偏重した動機付けを与えられていること(特に国策起訴においてはこのことが顕著である)」の2つを挙げています。

 

外国人のみならず日本人の多数もこの問題に疑問を持っています。「Yahoo!みんなの政治」に新党大地の代表・鈴木宗男氏の「検察が正義でなく、正義は国民が判断する」というコラムでこの点に触れています。同氏は、「国民が気をつけなければならないのは、裁判所は「法の番人」でなければなりませんが、現実は裁判所は検察の言いなりになることがほとんどだということです。有罪率99.9%は、ほぼ100%ということですが、この数字が裁判所が検察の言いなりだということを証明しています。なぜ言いなりかというと、司法官僚同士の一体感というのはとても強く、「判検交流」といって、裁判所(司法)と検察(行政)の交流人事というのがあり、同じ村の仲間だからです。したがって、日本では、3権分立が成り立っているのかといえば、極めて疑問に思います。」とかなり否定的な見解を述べておられます(http://seiji.yahoo.co.jp/giin/rev/detail/index.html?g=2009000469&s=0&d=3&r=42この見解に対する賛否は、賛成487件、反対35件で圧倒的に賛成が多い)。(http://news.goo.ne.jp/hatake/20090529/kiji3341.html?disp=all)のアンケートの結果も参照してください。

 

確かに、日本は三権分立制を採っており、司法・行政・立法は相互に抑制・均衡することで各府の暴走を抑止し、適正な権力運営を図っています。したがって、第一審有罪率99.9%なのに検察の慎重な判断の積み重ねの結果だから問題がないというのは事実上三権分立の実効的機能を無視するものです。逮捕状発付率、起訴猶予率及び第一審有罪率を総合的に考慮すれば、日本では事実上有罪無罪の判断を検察がしており、裁判所はその事後的承認機関と化していると言っても過言ではありません。司法と行政相互の抑制均衡機能が実効的に働き、司法の独立が維持されれば、検察と裁判所は相互に独立した判断をしている以上、第一審有罪率が99.9%になることなどあり得ません(法曹三者が一元的に司法研修所で教育を受け、法曹官僚として一枚岩であるからこそ高度の一体性と見解の一致を見るのです)。

 

有名なイギリスの政治家ジョン・アクトンは「Power tends to corrupt, and absolute power corrupts absolutely.(「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗する」)という格言を述べています。これは権力を一極に集中することの危険性を述べた有名な格言です。これは、いかに優秀な組織でも一極に権限が集中され、抑制均衡が機能しなければ、必ず腐敗し、危険であるという教訓を政治家に与えています。勿論、日本の刑事司法も例外ではないでしょう。

 

 

 

 



 

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