- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 村田 英幸
- (弁護士)
- 尾上 雅典
- (行政書士)
廃棄物処理法改正(案)は、下記のURLから入手できます。
http
ただ、改正案を全部印刷すると、A4用紙で158ページにもなり、忙しい皆さんが全文を読みこなす時間は無いと思います。
そこで、今回は、私が1時間で速読した改正案の骨子をお伝えしたいと思います。
まずは、主な改正ポイントから
1.事業所の「外」で産業廃棄物を保管する際に事前届出が義務化される
届け出を怠った場合には、「6月以下の懲役、若しくは50万円以下の罰金」という刑罰が予定されています。
2.建設廃棄物の処理責任を、元請業者に一元化
ここだけ読むと、元請業者のみが排出事業者に一元化されるように思えますが、改正案を精読すると、下請業者が排出事業者として独自に委託契約をしたり、運搬・保管をする方法が制定されそうです。
3.不適正処理された廃棄物を発見した「土地所有者」に対して、行政への通報が努力義務となる
4.従業員が不法投棄をした場合に、事業者である法人に対し、最高で3億円の罰金に(現在は1億円以下の罰金であった)
5.廃棄物処理施設の設置者に対し、行政から定期的な検査を受けることを義務付け
6.排出事業者に対し、委託先処理業者の処理状況を確認することを努力義務として求める
7.優良処理業者に対して、許可の更新期間が伸びるというインセンティブが付与される模様
具体的な条件は、今回の法改正ではなく、環境省令などで決定される予定
8.許可の連鎖取消が起こる条件が、廃棄物処理法上特に悪質な違法行為に限定される模様
9.措置命令の対象が拡大
具体的には、収集運搬や保管行為などが新たに措置命令の対象となる
10.廃棄物熱回収事業者の登録制度の創設
具体的な内容はまだ不明
実務上大きな影響がありそうなのは、上記の10項目です。
それ以外にもたくさんの改正内容があるのですが、主な点だけをピックアップすると、上記の10項目になろうかと思います。
改正案を見て驚いたのは、処理業界が熱望していた「収集運搬業許可申請手続きの簡素化」がスッパリ抜け落ちていたことです。
現在、全国で109の自治体が収集運搬業に関する許可権限を持っているのですが、それではあまりにも多いということで、廃棄物処理制度専門委員会報告書では、事実上都道府県に一本化する提言がされていました。
しかし、改正案のどこを見ても、その簡素化に触れた個所がありませんでした。
その他にも、専門委員会報告書では触れられていない改正事項がたくさんありますので、「急に現れた規制」や「消された提言」などの背景を読み解くと、環境省や政権の意向が手に取るようにわかるものと思います。
運営サイト 産業廃棄物許可コンサルティングセンター
著書 「最新産廃処理の基本と仕組みがよ〜くわかる本」