- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
企業の実務担当者からすると、「そんなのわかってるよ。でも、不法投棄に絶対に巻き込まれない方法が無い以上、リスクへの対処のしようがないじゃないの」という感想を持たれる方が多いようです。
どうも「リスク」という一言で、私が説明を終えた気になっていたのが悪かったようです。
確かに、どれだけ委託契約書やマニフェストを完璧に運用し、頻繁に委託先処理企業を訪問したとしても、その努力によって絶対に不法投棄に巻き込まれないとは断言できません。
実際には、どれだけ排出事業者側が努力したところで、委託先の処理企業が悪意を持った時点で、その努力が無駄になるどころか、委託したはずの廃棄物が簡単に不法投棄されてしまいます。
そうだろ だから 排出事業者が努力したって無駄なんだよ
目をつぶって委託をし、不法投棄が発覚した時点ですぐに撤去に応じるしかないじゃないか!
こう考える企業実務者が多いのかもしれません。
確かに、リスクを、「不法投棄に巻き込まれる可能性」と定義するならば、どれだけリスク管理を徹底しても、リスクの発生確率をゼロにすることは不可能です。
しかし、私が簡単に言ってしまっていたリスクを、「万が一不祥事に巻き込まれた場合でも、慣れないリスク対応によって企業の醜態をさらし、企業の信用を一夜にして落とす可能性」と定義した場合はどうでしょうか?
これなら、「平常時からリスク対応に磨きをかけ」、「不祥事に見舞われた場合でも、それに関与していたと疑われないための説明資料を揃え」ておけば、社会に対して恥ずかしくない姿勢で立場を表明できると思いませんか?
不法投棄に巻き込まれる可能性をゼロにすることはできませんが、平常時から準備をすることによって、企業の倒産や、信用を大きく失墜することを防ぐことは十分可能です。
取り返しのつかない段階で、「あの時にこうしておけば良かった・・・」と後悔しなくても済むよう、平常時から、最悪の場合に備えた態勢構築を目指すのがリスク管理の要諦です。
抽象的な言葉ではなく、具体的に考えられる危険性と、それへの現実的な対処方法を説く
これもリスク管理のための重要な要点だと思い知りました。
理想論を語って終わるのではなく、問題を想像可能なレベルに落とし込んだ上で、具体的な対処策を練り上げる
今後はこのレベルに踏み込んでいきたいと思います。
自分への自戒の念を込めて、リスク管理のあり方について考えてみました。
運営サイト 産業廃棄物許可コンサルティングセンター
著書 「最新産廃処理の基本と仕組みがよ〜くわかる本」