このお酒という飲み物は人類の歴史と伴にある、いわば人類の旧い友人とも言えますが、付き合い方次第でそれこそ友人ともなれば、ちょっと間違えると敵ともなる、まさに「両刃の刃」といえる代物なのです。
職場の忘年会などでは、常日頃はあまり口を利いたことがない他部署の社員同士や、お互い苦手意識をもっている同僚同士が、酒の力も借りて腹を割って話し合い、すっかり意気投合したなどという美談も聞かれます。酒は人間関係の潤滑油、と表現される由縁です。
また百歳近い高齢の男性が毎晩のように晩酌を嗜んでいて、風邪らしい風邪もひいたことがなく、医者にかかったことがないくらいに元気でおられる姿を見ると、まさに「酒は百薬の長」との思いを新たにするものです。
その一方で、新入生歓迎会などで無理やり慣れない酒を飲まされて急性アルコール中毒で死亡する事件や、未だに根絶されない飲酒運転による悲惨な事故の報道を見るにつけ、アルコールの恐ろしさに身震いせざるを得ません。
そしてアルコールの飲み過ぎはアルコール性肝障害から肝硬変の原因となり、また高血圧や心臓病、糖尿病などの引き金になってしまいます。さらにアルコールは依存性をもたらしやすく、酒が原因で家庭の不和や離婚、仕事上のトラブルや失業を招きかねません。
従って酒というものはその長所と怖さをよく理解して、自分のコントロールの範囲内で適量を飲む必要があります。酒は「飲む」ものであって、決して「飲まれる」ものではないのです・・(続く)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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