後者に関しては、管理職の1日平均睡眠時間に関する国際調査によると、対象5か国中で日本が最低水準という結果が出ました。睡眠時間6時間未満の管理職の割合はドイツや米国などで34%に留まったのに対し、日本では55%と半分を超えました。睡眠を削ってでも深夜まで仕事をするのが美徳とされてきた日本企業の風潮が現れています。
学生のレベルでみても、日本人の睡眠時間は短くなっています。大学生の平均睡眠時間の国際調査によると、欧米の各国では軒並み7時間以上だったのに対し、日本は6時間強と最短の結果が出ています。テレビの24時間化、インターネットや携帯電話の普及、コンビニやカラオケボックスなど深夜営業を行なう店舗の増大などが、この傾向に拍車をかけています。
そのような国際的にみても睡眠不足の傾向が強い日本に於いては、企業も学校も地域社会も、もっと睡眠の重要性というものを理解し、睡眠時間を充分に取れるような仕組み作りが必要と考えられます。そのためには夜間や休日に仕事や学習を持ち込まないとか、会社ぐるみで残業を減らすといった工夫が求められます。
これに比べて、眠ろうとしても眠れないという「不眠」に対しては別のアプローチが必要です。誰でも緊張したり重大な悩みがあれば、眠れないという現象は発生します。翌日に大事なプレゼンテーションがあるとか、前日の仕事で大きなトラブルが発生した、とかいった場合です。
そのような一時的な不眠ではなく、不眠症状が頻回に1ヶ月以上続き、それが心身の苦痛や社会生活上の問題を抱えるに至った場合には、睡眠障害の一つの形態としての「不眠症」に分類されます。このような日常的な不眠状態になると、何らかの対策や治療が必要となります・・(続く)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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