また抗生剤と同様、病原体に対する効果が次第に低減する「耐性」の問題も横たわっています。つまり当初は顕著な効果が認められても、ウイルスなど病原体の側にその薬剤に対する抵抗力が備わり、遅かれ早かれ薬剤が効かなくなるのです。
とはいえ新型インフルエンザに対しては従来型と同様、タミフルなどは一定の効果を示すようです。投与の危険性が指摘されている小児や妊婦などを含めて、必要性と危険性を天秤にかけて、注意を払いながらタミフル等を投与しているのが現状です。
一方でインフルエンザに対しては「ワクチン」というものが有用ですが、新型に対しては従来型に対するワクチンは効果が期待できません。ワクチンは昨年度に流行したウイルス株を基に作成されますが、新型ではウイルスの構造が大きく変化するために効果がなくなるのです。
国立感染症研究所などを中心となって新型の構造が解明され、ワクチンが大急ぎで作られていますが、ワクチンの製造にはニワトリの有性卵が大量に必要で培養に時間がかかるため、従来の流行性インフルエンザワクチンとの兼ね合いもあり、用意できる数には自ずと限りがあります・・(続く)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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