中国特許 中国改正特許法の経過規定及び注意点(2) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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中国特許 中国改正特許法の経過規定及び注意点(2)

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中国における改正専利法経過規定のお知らせ及び法改正後の注意点(2)
2009年10月5日
河野特許事務所
弁理士 河野英仁

2.その他の注意点
 知識産権局はさらに以下の点について注意を喚起している。実施条例の内容は未確定であるが、出願人が最低限注意すべき点を示したものである。

以下に代表的な注意点を紹介する。

(1)特実重複出願(改正専利法第9条、条例案第43条)
 同一出願人が同日に同一発明(考案)について特許出願及び実用新案登録出願をする場合、それぞれの出願時に併願であることを示す旨の声明を記載しなければならない。

(2)保密審査(専利法第20条/条例案第8条、第9条及び第10条)
 中国国内で完成した発明または実用新案を外国へ出願する場合、事前に保密審査請求を行わなければならない。保密審査請求を怠った場合、中国で特許権が認められなくなるからである(専利法第20条)。中国国内で発明が発生する可能性のある企業は注意すべき条文である。

 条例案によれば保密審査請求のパターンは以下の3つとなる。
パターン1:直接外国出願(外国PCT受理官庁含む)を行う場合
 中国国内へ出願せずに、直接外国出願を行う場合、事前に国務院特許行政管理部門へ保密審査請求を行う必要がある。その際、詳細な技術説明を添付することが必要とされる。
パターン2:先に国務院特許行政管理部門へ国内出願し、その後外国出願する場合
 最も多いパターンと考えられる。出願と同時に保密審査請求を行うか、出願後に別途保密審査請求を行えば足りる。
パターン3:国務院特許行政管理部門へ直接PCT出願する場合
 中国においてPCT出願する場合、出願と同時に保密審査請求したものとみなされるため、特段手続きは不要である。

 条例案によれば、以下の如く審査が行われる。保密審査請求後、審査が行われ、国家安全上問題があると判断された場合、請求後3ヶ月以内に通知がなされる。安全上問題なければ、外国出願が可能である。
 軍事技術等により、3ヶ月以内に通知を受けた場合、請求後5ヶ月以内に保密すべきか否かの決定通知がなされる。ここでも5ヶ月以内に通知がなければ外国出願を行っても良い。

(3)意匠の簡単な説明(専利法第27条第1項)
 意匠登録出願の際には、意匠の簡単な説明の提出が必要となる。意匠の簡単な説明は権利範囲解釈に用いることができるため(専利法第59条第2項)、権利範囲を限定するような記載は禁物である。

(4)特許権評価報告制度(改正専利法第61条)
 出願日(優先権を伴う場合優先日)が2009年10月1日(同日含む)以降である実用新案権及び意匠権については、改正後の特許権評価報告が作成される。しかしながら、出願日(優先権を伴う場合優先日)が2009年10月1日より前の場合、実用新案権についての検索報告が作成されるに過ぎない。

 改正専利法の内容は早期に確定したものの、実務的手続き内容を詳細に規定する実施条例及び審査指南の内容は未だ確定していない。手探り状態ではあるが上述したような知識産権局の通知内容に従って手続きを行うほかない。
 なお、10月中旬〜下旬に実施条例の内容が確定する見込みである。


以上