住宅断熱基礎講座/外断熱批判の検証 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

野平 史彦
株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
千葉県
建築家
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住宅断熱基礎講座/外断熱批判の検証

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03-13:外断熱批判の検証

 さて、ここで外断熱に対する批判に少し耳を傾けてみましょう。

 まずはじめに、
1)外断熱に用いられるプラスチック系のボード状断熱材は、地震時や強風時の揺れに対してその追従性・復元性がないので、断熱ボード間に隙間ができて断熱・気密欠損が生じる危険性がある、
という指摘です。

 これは外断熱を行う場合、当然考えておくべき事で、在来軸組工法で内断熱を行う場合とは逆に外断熱においては通常の筋かいを用いるよりも、構造用合板などで外壁の面剛性を高めておく方がベターであると言えます。(先のSHS-3のサーモプライはその辺の配慮をしている)

 次に、
2)柱や梁などの構造部材は防腐・防虫処理されたものが多く、内断熱では気密シートでそうした木部材からでる有害物質が室内に侵入するのを防ぐことができるが、外断熱では構造部材が室内側になるため住む人の健康を害することになる、
という指摘があります。

 この問題について実際にはどうなのかと言えば、高気密・高断熱住宅の空気質(ホルムアルデヒドとラドンの濃度について)を調査したあるデータによると、計画的に換気された状態では内断熱も外断熱も共に環境基準以下の数値になっています。
 この場合、そのデータのサンプル数や室内で使用されている合板やクロス糊、その他揮発性有機化合物を含む接着剤などの使用状況について指摘されるところですが、いづれにしても外断熱が原因で現実的な健康被害を被っているという報告は聞きません。
 しかし、内断熱派が指摘する問題がないわけではありませんので、私の場合は、内断熱を用いるときも、外断熱を用いるときも同様に「揮発性の有毒化学物質を含む材料は使用しない」旨、図面の中の特記仕様書に記載しています。

  最後に、
3)外断熱で用いられるポリスチレン、ポリウレタン等のプラスチック系断熱材は火に弱いので、防火指定のある地域に家を建てる場合、外壁には防火認定を取った外壁材を使うことが義務付けられていますが、いくら外壁が火に強くてもその中には通気層が取られ、すぐにその燃えやすい断熱材が張られているため火や熱が土台付近で通気層内に侵入した場合を考えると、防火的には大きな問題を抱えているという指摘です。

 これは、防火地域内で実際に隣家からの延焼を受けた外断熱住宅を検証してみると、火事の炎は常に上方に向かうので、地盤に落差ががなければ隣家の炎が土台付近から侵入する、ということはなく、防火認定された外壁材が炎で熱せられると、通気層の空気が暖められて上昇し常に外気が引き込まれているため、外壁材が持ちこたえられている間はこの通気層が断熱材への延焼を防ぐ働きをしていることが確認されています。
 しかし、外断熱住宅の件数が増え、その事例が多くなると、火災にあった外断熱住宅は、燃えるのが早い、というデータも研究者の間から出て来ており、今一度、きちんとした検証が必要だと思われます。