改正省エネ法(照明)の概要vol.2 - インテリアコーディネート全般 - 専門家プロファイル

松下 進
松下進建築・照明設計室 代表
東京都
インテリアコーディネーター

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対象:インテリアコーディネート

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閲覧数順 2024年04月23日更新

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改正省エネ法(照明)の概要vol.2

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光やあかり・あれこれ
今回は、住宅事業建築主に対する新築戸建住宅の省エネ性能基準の紹介です。
私はこの省エネ性能基準を検討するワーキンググループのメンバーを務めましたので、この内容には責任もあり、人ごとではありません。

これまで戸建住宅に対しては、断熱性能において次世代省エネルギー基準(平成11年基準)があったものの、照明に関しては全く基準がありませんでした。
特定建築物における省エネルギー措置届出書提出義務も、住宅では集合住宅の共用部分だけを対象としており、集合住宅の専用部分や戸建住宅は対象外となっています。

しかし今回の改正によって、照明を含めた戸建住宅のエネルギー消費量について基準が設けられることとなったのです。
但し対象は年間150戸以上を供給する住宅事業建築主のみとなります。

この基準の大きな特徴は、各設備によるエネルギー消費量を合計して住戸全体のエネルギー消費量を算出し、さらに断熱性能との組み合わせで、省エネ性能を決定するという考え方です。

照明に関しては、住戸全体の各室における年間を通じた照明設備のエネルギー消費量の合計とし、照明設備の種類、性能、仕様及び使用状況等に応じて算出することとなります。

具体的には、建築物のCEC/Lにおける年間照明消費エネルギー量の算出方法とほぼ同様に、室ごとの照明による消費電力に年間照明点灯時間を掛けて算出しますが、ここで建築物の場合と大きく異なるのは、他の設備とのトレードオフを行うため、CEC/Lのような比でなく、エネルギー消費量そのものにて評価する点です。

但し、実務において設計者は上述の計算方法によってエネルギー消費量を算出する必要はなく、白熱電球を使用しているかどうかなどの仕様を選択するだけでエネルギー消費量が得られます。

これはどういうことかというと、照明の仕様により省エネ性能がレベル分けされている複数の標準プランが予め設定されており(建築プランは共通)、設計者が仕様を選択すると自動的にプランがレベル分けされ、エネルギー消費量はそれらの標準プランの値が適用されるということです。
設計したプランが省エネ性能レベル1の仕様になっていれば、省エネ性能レベル1の標準プランのエネルギー消費量が適用されるという感じです。

しかしそれでは面積や部屋構成など実際の建築プランの内容が反映されず、正確なエネルギー消費量が得られないのではないかという疑問が湧くと思いますが、それはその通りです。
ただ今回は正確なエネルギー消費量を算出するというよりも、各設備を含めた住宅全体の省エネ性能を簡易的に比較できるようにするということが優先されたため、一旦標準プランに置き換えるというプロセスが必要になりました。

まずは第一歩と思います。