廃棄物処理政策に関して検討されている論点(1)-2 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

尾上 雅典
行政書士エース環境法務事務所 
大阪府
行政書士

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村田 英幸
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閲覧数順 2016年12月07日更新

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廃棄物処理政策に関して検討されている論点(1)-2

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法令改正 2010年 廃棄物処理法改正

排出事業者責任の強化・徹底(第2回目)




 httpの続きです。


 中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会 廃棄物処理制度専門員会において、「廃棄物処理法」改正のための具体的な論点整理が図られています。

 排出事業者責任に関する検討項目としては、下記の内容が挙げられています。
・排出事業者の産業廃棄物保管行為を行政が把握できるようにするべき
・建設系廃棄物の排出事業者は誰になるかを明確化するべき
・マニフェストをもっと適切に運用させるべき
・委託先の現地確認を義務付けよ!
・電子マニフェスト使用を義務付けよ!



 今回のコラムでは、「排出事業者の産業廃棄物保管行為」について解説します。


保管行為をなぜ規制する必要があるのか?




 環境省の調査によると、
 廃棄物の不法投棄実行者の半分は、排出事業者でした。逆に、産業廃棄物処理業者は約5.5%と非常に低い割合となっています。

 さらに、不法投棄された廃棄物の79%は建設廃棄物でしたので、
 「建設工事に関連している排出事業者が不法投棄に関与していることが多い」と言わざるを得ません。

 実際、私の行政官時代にも、廃棄物の不適切な保管や処理の対象となっていたのは、建設廃棄物ばかりでした。

 ターゲットがわかっているなら、速やかに規制できそうにも思えますが、実際はそう簡単に割り切れないケースがほとんどです。

 例えば

 「ここに置いてある廃棄物は、他人のゴミではなく、自社が施工した工事で発生させたものだ」と言われてしまうと

 廃棄物を20mも積み上げたなどの、余程の危険性がない限り、「その場所に廃棄物を置くな」という法的な根拠がないのです。

 もちろん、自社の廃棄物ではなく、他人の廃棄物を保管する場合は、産業廃棄物処理業の許可が必要であり、その許可の有無は簡単に判明しますので、取り締まりは厳重に行われます。

 しかし、「自社の廃棄物しか保管していない」と主張されてしまうと、他人の廃棄物が混じっているかどうかは行政が立証しなければなりません。

 その結果、立証するための証拠収集に時間がかかり、気がついた時には大規模な不法投棄事件に発展

 というのが、各地で起こっている不法投棄の生成パターンです。


 土を掘って廃棄物をその中に放り込み、廃棄物に土をかぶせている場合は、「無許可の埋立」としてすぐに逮捕することが可能ですが

 例えば、自社が管理している土地に廃棄物を放置する行為の場合、それだけでは不法投棄と判断しにくいケースが多々あります。


 このような現実に対する改善策として、排出事業者自らが産業廃棄物を保管する場合でも、行政がその情報を把握できるようにするべし、というのが論点のそもそもの発端です。

 しかし、情報を把握できたとしても、保管行為に対する規制をできないというのでは意味がありませんので

 廃棄物処理法第12条第2項の「保管基準」を満たさないような不適切な保管行為に対して、「措置命令」を発出できるようにするべし、という意見も出ているようです。


 廃棄物処理法の改正内容に盛り込まれるかどうかは、今後の状況次第ですが、排出事業者に対する規制が強まっていくのは間違いなさそうです。

 今のうちに、保管基準を見直し、法律がいつ改正されても慌てなくても済むよう、準備を整えておくのが良いでしょう。