その状態で患者は、病気の予防や健康増進のために必要な物・サービスについて、受け入れ準備がかなりの程度整っていると考えられます。例えば肥満患者の場合には、痩せるための食事プランやサプリメント、運動プログラムなどの各種ツールがもし医療者側から提示されれば、それらを購入または利用する用意が出来ている可能性が高いのです。
そのようなツールは、患者が自主的に選択できるものであると同時に、各自の状態に適合したものでなければなりません。いくら患者が自由に選べるとしても、体質や病状に合わないものを選んでしまっては、かえって健康を阻害する可能性もあるし、お金や時間、労力の無駄となってしまいます。それを避けるために医療者は、患者の賢明な選択をプロとしてサポートしなければなりません。
具体的に、膝や腰の悪い肥満患者がジョギングをやろうと言い出した場合を考えてみましょう。もしそれを無理して始めた場合、膝や腰の痛みが悪化するばかりか、重大な傷害を招く危険性があります。従ってこの場合には、ジョギングよりはむしろスイミングを勧めるというのが、一つの代替案です。スイミングでは水の浮力が働くため、膝や腰が悪い人であっても比較的安全に取り組めます。
次に各々のツールは、非常に「良質」なものでなければなりません。いくら患者が自主的に選択し、医療者が専門家の目から勧めたものであっても、そのツールが粗悪品では意味がありません。この場合の良質とは、価格が高いとか、有名であるという意味ではなく、品質が安定していて科学的裏付けがある、なおかつ提供者のポリシーがしっかりしている、という意味です。
例えばサプリメントの場合、含まれている成分が全うなものであり、有害なものが極力排除されていなければなりません。例えば有効成分が充分含まれていることが前提ですし、添加物や農薬などは少ないに越したことはありません。またその効果が科学的なデータで充分証明されている必要があります。さらに第三者の専門家の意見を充分に吟味して、採用するべきです。
実際の世の中の現実はどうかというと、一流品ばかりとはいえないのが現状です。サプリや健康食品は、有効成分が充分入っていなかったり、添加物の類が多量に入っているものが目立ちます。食品でも、野菜の多くは‘農薬まみれ・肥料まみれ‘で、栄養価は半世紀前の数分の一に減少してしまったといわれています。アロマオイルも多くは非オーガニック品です。
さらに「売り方」も問題です。大半の商品は広告宣伝費や中間マージンに大半のコストを取られ、原材料に多くを掛けられません。その結果、二級品が出回る結果となっています。広告費をかけないとされる業者でも、いわゆるネットワーク・ビジネスに走り、強引な勧誘やギラギラした商魂を露わにするものも目立ちます。
そのような現状の中でも、比較的品質の良い商品を作り、良心的な営業をしている企業は、ごく少数ながら確実に存在します。業者にとってさらに大切なことは、患者(顧客)がその商品を使用することにより、どのような結果が得られるのかを充分にサポートする、真摯な態度です・・(続く)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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病気を治したり予防するにあたり、いちばん大切なのは、ご本人の自然治癒力です。メンタルヘルスを軸に、食生活の改善、体温の維持・細胞活性化などのアプローチを複合的に組み合わせて自然治癒力を向上させ、心と身体の両方の健康状態を回復へと導きます。
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