- 晝間 康明
- ひるま矯正歯科 院長
- 歯科医師
対象:一般歯科・歯の治療
矯正歯科の歴史:第3回目は,「世界の矯正治療の流れ」です.
日本の近代矯正では主にアメリカの矯正治療が導入されました.
その頃の,ヨーロッパ矯正歯科治療はどの様な流れだったのでしょうか.
アメリカの矯正歯科治療では,歯の並ぶ位置や角度が噛み合せの異常を生み出すと言う考えが中心にあったため歯をより正確に並べる事を目標として矯正歯科治療が発達してきました.したがって,歯をより正確に動かすために可撤式の矯正装置から固定式の矯正装置(マルチブラケット装置)に変化していったのです.
一方,ヨーロッパでは噛み合せの異常は上下顎骨の位置関係に問題があり,この問題を改善する事を目標として発達してきました.すなわち,成長期に上下顎骨の形態を変化させたり,発育を促す事を目的とした治療が中心となって発達したのです.
結果ヨーロッパでは,歯一本一本に力を加える装置よりも顎全体に力を加える装置の開発に重点が置かれました.
具体的にヨーロッパ型の矯正では,当時どの様な装置を使っていたのでしょうか?
成長期である6〜15歳くらいの期間に上下顎同時に装着するようなマウスピースを使い,顎の成長をコントロールしました.しかし,この装置は大型であるため装着感が良くなく,使用時間が短くなりやすいために確実に効果が得られませんでした.
また,成長をコントロールするといってもその量には限界があり全ての症例で顎骨の位置関係を改善する事も出来ませんでした.この様な治療効果の不確実性から世界の矯正歯科治療は徐々にアメリカ型のマルチブラケット装置による矯正装置へとシフトしていったのです.
・・・つづく