- 晝間 康明
- ひるま矯正歯科 院長
- 歯科医師
対象:一般歯科・歯の治療
- 赤岩 経大
- (歯科医師)
- 赤岩 経大
- (歯科医師)
矯正歯科の歴史:第2回目は,ベッグ法の導入です..
日本の近代矯正臨床の幕は1969年開催された第一回ベッグ法講習会によって開かれたといっても過言ではないでしょう.全ての歯に装置を装着して1本1本の歯を動かす先駆けであるベッグ法の導入は,これまでの床矯正装置(取り外し式の矯正装置)による治療の概念を一変させ,やがて現在の矯正治療装置に至る日本の矯正臨床上の大きな変換点でした.
当時のアメリカ矯正歯科界はベッグ法から,現代矯正歯科の基本形である細いアーチワイヤーによるエッジワイズ法に変わりつつありました.
エッジワイズ法もベッグ法も一本一本の歯にブラケットを装着し,アーチワイヤーによる弾性によって歯を動かすシステム(マルチブラケットシステム)です.同じマルチブラケットシステムでもエッジワイズ法,ベッグ法の最も大きな違いは,アーチワイヤーの違いで,エッジワイズ法では断面が四角の角ワイヤーを用い,ベッグ法では断面が丸い丸ワイヤーを用いたのです.
開発当初のエッジワイズ法で用いる角ワイヤーは直径が太かったため,矯正治療中に歯根吸収を起こす症例が多くあったようです.そのため,細いワイヤーによる歯に負担をかけない移動方法としてベッグ法が開発されたのです.しかし,ベッグ法ではワイヤーが細過ぎて歯が傾斜してしまい細かい調節が出来ない問題点が生まれました.そこで,細いアーチワイヤーによるエッジワイズ法がアメリカで開発されました.アーチワイヤーを細くした事でアメリカではエッジワイズ法が全盛を迎えました.しかし,日本の矯正歯科医たちにとって開発当初のエッジワイズ法の印象が強く,日本ではエッジワイズ法ではなくベッグ法を導入したのです.
・・・続く