米国特許判例紹介:永久差し止めの要件(第1回)  - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許判例紹介:永久差し止めの要件(第1回) 

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米国特許判例紹介:永久差し止めの要件
 〜eBay最高裁判決 4 Factorsの適用基準〜(第1回) 
河野特許事務所 2009年3月13日
執筆者:弁理士  河野 英仁

1.概要  
 米国特許法第283条は永久差し止め(Permanent Injunction)に関し、以下のとおり規定している。
「本法に基づく訴訟についての管轄権を有する個々の裁判所は,特許によって保障されている権利についての侵害を防止するため,衡平の原則に従って,その裁判所が合理的であると認める条件に基づいて差止命令を出すことができる。*1」

 従って裁判所が特許権侵害を認めた場合、被告に対し米国特許法第283条に基づき、製造及び販売の停止等の永久差し止めを認めるのが原則である。しかしながら、永久差し止めを認めるか否かは、裁判所の裁量に委ねられており、侵害があったからといって直ちに永久差し止めが認められるわけではない。

 どのような場合に、永久差し止めが認められるかは、2006年のeBay最高裁判決*2により明らかとなった。最高裁は永久差し止めが認められるためには原告が以下の4要件を立証しなければならないと判示した。

(1)回復不可能な損害の存在
(2)損害賠償等の法による救済が不十分であること
(3)両当事者に生ずる不利益のバランス
(4)公共の利益が害されないこと

 本事件では、4要件を満たすか否かについて争われ、地裁は4要件を満たし、被告に対する永久差し止めを認めた。またCAFCも地裁の裁量に乱用がないことから、被告に対する永久差し止めを認める判決をなした。

(第2回に続く)