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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月25日更新

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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。


8月27日、介護給付費分科会が行われました。

今回は、特養や老健、介護医療院について取り上げられていましたが、ここでは「老健」について触れていきたいと思います。


老健の定義は、介護保険法において


介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を 図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対 し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練 その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設。


となっています。


明確に、「在宅と病院の中間施設」と位置づけ、あくまで在宅復帰を果たすための施設と位置付けられています。


平均要介護度は3.2で、特養が4.0ですから、やはり中度以下の方が利用されているということと、リハビリ効果も相応に出ているということでしょうか。


しかし、事業所数や受給者数はなぜか微減。

とはいえ、給付額は特養に次いで多く、1.3兆円。高額ですね。


これほど介護給付費が使われているので、やはり適正化せざるを得ません。

要は、老健の在り方に沿った運営をするということです。


老健の本分はあくまで在宅復帰。

介護報酬も、「在宅復帰率」と「ベッド回転率」に着目して、一定以上の成果を上げた事業所を報酬で評価しています。


現在は概ね「基本型」「在宅強化型」「療養型」「その他型」とざっくり分けられ、「その他型」が最も報酬が低く、療養型が一番高い報酬体系になっています。


細かいことはここでは申し上げませんが、基本型とその他型ですと、中央値を取ると報酬差は20単位/日位かと思います。定員が100名の施設が多いので、単純計算ですが1日2000単位(約2万円)差が出ます。

30日計算で約60万円、年間約720万円の収益差となりますので、これは非常に大きいです。


これが在宅強化型となると、その他型との差は約50単位以上になりますから、上記の2.5倍となります。2千万近い差となるのですからすごいです。


分科会の統計によると、「基本型」の取得率が最も多く53.10%、在宅強化型が20.16%とのこと。

その他型が3.71%ですから、基本型以外の形態は少ないということです。


こうしてみますと、在宅復帰とベッド回転率を一定以上確保することが困難である、ということが伺えます。


満床に近づけることと、在宅復帰・ベッド回転というのは、ある意味トレードオフの関係に近く、両立しにくい関係です。しかし、平均在所日数を減らし在宅復帰をどんどん果たしていくことが求められているので、老健運営は非常に大変です。


また、これは私自身最も大変な部分と思っていますが、近年特養の待機者数が落ち着いてきて、それに代替する施設(有料老人ホームやサ高住)が充実してきていることから、老健については本分をしっかりわきまえないと本当に厳しい状況になるということ。


数年前までは、特養の待機先として老健を活用するケースもありました。

しかし、それもなかなか難しくなってきています。平均在所日数が長くなれば報酬減に直結します。


それまでは、とにかく満床に近づけていれば収益が安定すると言われていましたが、それだけでは厳しいという状況になってきているのです。


ベッドコントロールも含め、老健の収支のカギを握るのは支援相談員。

大変だと思います。


ただでさえ、満床を維持し続けるのは大変な現状。

これからは、とにもかくにも包括やケアマネ、在宅サービス事業所とも密に連携するだけでなく、地域の社会資源にも目を向けて運営していかないと、老健の本分を果たすことはもはやできなくなってきています。


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(東京都 / 経営コンサルタント)
株式会社アースソリューション 代表取締役

介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします

有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。

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