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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月23日更新

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介護職員特定処遇改善加算の取得状況

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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。


2019年10月から新設された「介護職員特定処遇改善加算」の取得状況について、厚生労働省が調査をしたそうです。


取得率は6割にも満たない水準。昨年12月のサービス提供分で57.8%とのこと。

まあ、それから数か月経過しておりますし、年度が明けて新たに取得する事業所も増えているでしょうから、この数字は参考程度に見るべきかもしれません。


しかし、いずれにしても低い取得率だと思います。


この加算、事業所内に最低1名は「リーダー級」として配置し、月額8万円以上の賃上げか年収440万円以上に設定することを条件に取得が可能なのですが、取得しない事業所が多いのはなぜなのでしょう。


確かに、ハードルが高いというのも事実かと思います。

それから、規模の小さい事業所では、特定殊遇改善加算を算定しても8万以上の賃上げや440万円以上の年収にもっていくことも難しいと思います。


あくまで概算の話ですが、例えば地域密着型通所介護の場合。1日型で定員10名マックス利用し、1名あたり1日1万円(実際はもっと少ない)の売上が算定できたとします。月の営業日数が25日として、1万円×10名×25日=250万円と試算します。


地域密着型の特定処遇改善加算の場合、(Ⅰ)で1.2%、(Ⅱ)で1.0%の加算率になります。

仮に(Ⅰ)を算定した場合、250万円×1.2%=3万円が特定処遇改善加算算定で得られる報酬です。

3万円×12か月=36万円が、1年間で算定出来うる加算額になるわけですが、果たしてこのお金を原資にして、現状の当該事業所の給与水準からさらに月8万円の賃上げ、あるいは年収440万円の報酬増が実現できるでしょうか?

相当厳しい(というより不可能に近い)と私は思います。


ですので、この加算については、相応の希望の事業者であれば十分可能だと思います。

先程の例では定員10名でお示しいたしましたが、これが1日40名規模のデイであれば単純計算ですが4倍になります。36万円×4=144万円あれば、リーダー級の職員に対しる所定の賃上げが実現する可能性は十分にあります。


繰り返しますが、この特定処遇改善加算は、ある程度の事業所規模の大きい(利用者数が相応に多く見込める)ところでないと、算定自体難しいと思われます。

もちろん、スタッフの処遇アップを加算だけに頼るのではなく、企業努力をして実現させることも必要です。

しかし、サービスによっては基本報酬を下げられている事業もある(特にデイサービス)ので、企業努力と言っても簡単にはいきません。


取得率を押し下げている原因の一つには、上記のような理由が考えられます。


それから、事業所(法人)の意識や取り組みの問題。

事業所によっては、「加算を取得すると事務が煩雑で面倒だから」「すぐに辞めるスタッフに処遇を上げても仕方がないから」といって、加算取得をあきらめる(そもそも加算を取得する気がない)ところも多いのです。


大変申し訳ありませんが、自分たちの事業所で働くスタッフに対して少しでも処遇をよくしようという気概のない事業所は、今後生き残ってはいけないと断言します。


介護サービスは、人がすべてです。

介護業界は労働集約型産業である性質から、どうしても労働分配率(付加価値における人件費の割合)が高くなりがちです。それに輪をかけて人材不足が深刻でありますので、国もそれを組んだ上で処遇改善加算算定の仕組みを作っているのです。算定率等については納得できない部分も多く、問題も山積ですが、それでも事情を鑑みて報酬を設定しています。

来年度報酬改定がありますが、もしかしたら処遇改善加算については報酬増になるかもしれません。人材不足解消は待ったなしですから。


そんな中で、事務作業が面倒だからとか、研修やキャリアパスを構築するのが面倒だからとか、事業所の怠慢で処遇改善加算を算定しない(あるいは上位加算を積極算定しない)というのならば、その事業所は介護職員さんから敬遠される運命を辿るでしょう。


地域によっては、処遇改善加算の積極取得を促す取り組みが、自治体レベルで行われています。

エントリーして採択されれば、社労士さんを派遣して取得に向けての支援もしてくれます。


常に情報を収集し、活用できるものは積極的に活用する。この精神が必要です。

そうでないと、この先生き残っていくのは本当に難しくなってきてしまいます。

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(東京都 / 経営コンサルタント)
株式会社アースソリューション 代表取締役

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有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。

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