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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月25日更新

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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。


介護保険制度が始まったのが2000年4月。もう20年経ちました。

人間に例えるなら、生まれてから成人になるのに20年。

民法改正で、2022年に成人の定義が18歳に変わるらしいですが・・・


それはさておき、20年の歳月とは、とてつもない歴史です。

20年の間に法改正や報酬改定が何度も行われました。ご利用者様はこの20年で、累積ベースでどれ位いらっしゃるのでしょうか。


数えきれない程のご利用者様が行きかい、事業所数も増えつづけ、そして介護従業者様も増えてきた。

それが介護保険制度20年の歴史そのものです。


過去のコラムでもしつこい位申し上げてきましたが、これから高齢者がさらに増え続け、介護保険制度は更なる岐路に立たされることとなります。


介護保険制度は、当初から万全の体制で始まったものではありませんでした。

未曾有の超高齢化を見据え、手探りで始まったこの制度。まずは圧倒的に少なかった事業所や介護職員を増やすことから始まりました。当時のヘルパー養成校、介護福祉士養成校は、国の手厚い助成も手伝いそれはそれは潤っていたことでしょう。


しかし、介護給付費が予想を遥かに超える勢いで増えまくったことから、国は給付費増大の抑制策に走り始めました。そこからが、介護の緊縮財政のスタートです。


私も20年のうちの数年間は、介護事業の現場におり、事業所運営もしてきました。

とにかく人手が足りない。毎日泣きそうになりながら運営をしてきました。

休みなんかほとんど取れない。寝ても覚めても考えることは仕事のことばかり。今は家族と過ごす時間や自分のスキルアップの時間を確保できるようになっていますが、当時は到底無理な話でした。


今でも似たような境遇に苛まれる社長さんや管理者さん、多いのではないでしょうか。


緊縮財政に並行するように、不正を働く事業所も後を絶ちません。行政処分を食らう事業所数は、毎年増え続けています。


先ほども触れましたが、介護保険制度20年。

20年というのは大変大変長い年月です。


制度当初から運営している法人もたくさんあると思います。

例えば、30代で起業した方も、20年経てば50代になります。そろそろ、世代交代という話が出てもよい時期かもしれません。


そうでなくても、前述の話の通りで、現場を切り盛りすることの大変さは見過ごせません。

10年20年、人手不足と制度改正との闘いに、甚だ疲れ果てたという方もたくさんいらしゃるでしょう。


そんなこんなで、ここ数年で介護事業のM&A・事業譲渡という話が出てきています。


介護に限らず、日本の中小企業が抱える問題点の一つとして、後継者問題が挙げられます。

日本は中小企業が圧倒的に多く、全事業者の99.7%は中小企業です。中小企業が日本の全従業者の7割を、売上が全事業者の半分以上を担っているのです。

中には、ものすごいノウハウや技術を持ち、素晴らしいサービスを提供している中小企業もたくさんあります。しかし、経営者が高齢で引退したくても後継者がいないという理由(ほかにも理由はありますが)で、廃業してしまう事業者もたくさんある。

これはあまりにもったいないということで、国も積極的に事業承継や事業譲渡、M&Aを推進しています。


それが、介護の世界でも見え始めているのです。

20年の年月が経過すると、そういう問題がやはり出てきます。しつこいようですが、20年というのは大変長い年月であることが、改めてわかります。


長年頑張って経営・運営してきた法人を手放すのは、断腸の思いでしょう。お気持ちは非常によくわかります。

しかし、事業に疲れてしまって、かつ後継者もいないということであれば、M&Aや事業譲渡に進んでいくことはやむを得ないことだという気もいたします。


また、前述の通り、不正を働く事業者も減りません。

指定取り消しをはじめとする行政処分の多くが「介護報酬の不正受給」「悪質な運営基準・人員基準違反」です。


人員基準違反に起因する行政処分において、処分を受けた事業者の言い分としてよく聞かれるのは「人員が不足してどうもならなかった」という声です。


人員不足で運営に苦労したという経験は、自分もしてきましたから、お気持ちは重々理解できます。

中には、表現はよくないですが、「必要悪」のようなサービスが存在するのも、事実です。

非常にグレー(ブラック)な事業でも、そのサービスがあることで助かっているという方も、中にはいるのではないでしょうか。決して、その存在を肯定はしませんが・・・


しかし、それを理由にして不正をするというのは、まったく筋が通りません。

介護保険が公費と保険料で賄われている以上、どんなに大変な状況であってもルール違反は許されません。

軽微なものであれば、指導により是正できますが、ここで言っているのは行政処分を食らうような悪質なケースの話です。


私見ですが、悪質な不正をしてまで事業を継続する位なら、いっそのこと事業譲渡をしてしまった方がよいと考えるのは、乱暴な発想でしょうか。


結果として指定取り消しになり、実地指導や監査にかかったコストは公費で賄われるわけです。役所はそれも重要な仕事なので、そういう意味では税金が有効に活用されている話なのですが、そもそもそんな悪質な事業所はない方がよいに決まっているのです。


指定取り消し等の行政処分により、多くの従業者やご利用者様を不安にさせます。

その影響は計り知れません。得をする人もいません。いるとしたら、その事業所が消えてしまうことにより、流出したスタッフやご利用者様を拾い上げる会社位でしょう。


しかし、乱暴な言い方であっても、悪質な不正をしている会社にいる位なら、他社に拾ってもらった方がよほどマシだと思います。


M&Aや事業譲渡は、言葉だけ見ればネガティブにも聞こえます。

しかし、事業の選択と集中やリタイア等で事業所を手放したいと考える方と、事業拡大を考える方との双方の思惑が一致するならば、M&A等は推進されてしかるべきだと思います。


また、悪質な不正を働く不届き者を排除する意味からも、不正を働く前に譲渡等が遂行される仕組みができるとよいと思います。



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(東京都 / 経営コンサルタント)
株式会社アースソリューション 代表取締役

介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします

有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。

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