前回、当院に新しく入ったレーザーのことをお知らせしたので、レーザーについて少しお話しますね
実はレーザーにはいろんな種類のものがあって、目的によって適したものを選ばなければいけません。今回しのぶ皮膚科が導入した炭酸ガスレーザーは、ほくろやできものを取るためのもの。シミ取り用とは少し違うんです
ごくまれにシミも炭酸ガスレーザーで取るというクリニックもあるので、シミも取れるのでは?と思っている患者様もいるかもしれませんが、私としては「それはちょっと……」と思ってしまいます。
というのも、炭酸ガスレーザーは細胞の中の水に反応して「蒸散(じょうさん)」させ、組織を取り除いてしまうんです。
シミというのは細胞のなかでメラニンという色素が増えているだけ メラニンだけ破壊すればいいのに、わざわざ細胞ごと切り取ってしまうようなことをすれば、無駄な傷をつけてしまうことになります
たとえて言うなら、食材に応じて包丁を使い分けるようなもの。お刺身を切るには刺身包丁、パンを切るのはパン切り包丁を使いますよね パン切り包丁でお刺身は絶対切れないとは言いませんが、切りにくいし、切り口は綺麗じゃないし、味も落ちてしまいます
ちなみに、ほくろやできものなど皮膚にできる腫瘍は、そのほとんどが良性ですが、まれに悪性のものもあります 悪性の可能性(皮膚がんなど)が疑われる場合は、組織を切り取って検査に出さなければいけませんが、それと気づかずレーザーで蒸散させてしまうと組織が壊れてしまって確認することができません。
そのため一見ただのほくろに見えても、本当にそうなのかどうかしっかりと事前に診察をすることが大切 私は長年保険治療に関わっていて皮膚がんの手術の経験もあるので、診断には自信を持っています
どうぞ安心してレーザー治療を受けにきてくださいね。
しのぶ皮膚科https://sclinic.jp/
このコラムの執筆専門家
- 蘇原 しのぶ
- (東京都 / 院長 皮膚科医)
- しのぶ皮膚科 院長 院長
皮膚科医だからこそ提供できる質の高い美容医療を
皮膚科・皮膚外科歴15年。 ヒアルロン酸、ボトックス治療に造詣が深い。 オールアバウト美と健康のガイドでもあり、執筆、テレビ、ラジオ、などのメディア活動も精力的にこなしている。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会認定医。