![安井 正](https://d32372aj5dwogw.cloudfront.net/home/profile/front/html/img/professional/ll/1224354968.jpg)
- 安井 正
- クラフトサイエンス一級建築士事務所
- 建築家
対象:住宅設計・構造
じゃあその家がどれだけ持つのか?ということは誰もが気になるところでしょう。
結論から言えば、しっかりとした耐震性を高めたリノベーションを行い、きちんとメンテナンスをしていけば100年もたせることだって十分出来ます。
さらに大きなリニューアルを必要の応じて行っていけば、200年もたせることだって可能なのです。
昨今話題の200年住宅も、長期の修繕計画を綿密に立てることが前提で、なんにも手を加えずに200年もつ家をつくりましょうということではないのです。「家族の変化などに応じて、間取りの変更がしやすいつくりにしましょう」とか、「設備の配管や機器は取替えやすいようなつくりにしましょう」といったことが、うたわれています。つまりリフォーム、リノベーションしながら200年使い続けられる家をつくりましょう、というのが「200年住宅」という施策なのです。
日本の住宅の寿命は30年といわれることがありますが、これは建物が劣化して朽ちるのが30年なのではなく、実際それくらいで建替えているケースが多いということに過ぎません。
先代が建てた家を、世代が変わって住み方を大きく変えたくなる時期は、30年から40年くらいが多いいのではないでしょうか。30代でマイホームを取得、60代、70代で子供の世代が建替え、そんなサイクルがあるので、日本の住宅の建替え時期が30年ということになっているのでしょう。
要は、どれくらいのコストをかければ、どれくらい持つようになるのだろうか、ということのバランスが大切なのだと私は考えています。3000万円かけて100年持つ住宅に50年住むか、それとも1500万円かけて50年自分が住めれば十分だと考えるか、それは人それぞれでしょう。
いま、自分がお金をかけて家を取得し、そこにどれくらい住みたいのか、そこから先を次の世代にどう残したいか、という考え方で、住宅にどれくらいのコストをかけようか、という判断が変わってくるのだと思います。そんな意味でリノベーションという選択肢は、これから、もっと多くの人に価値のある方法として広まっていくことでしょう。
写真は2009年2月1日に住宅見学会を行うリノベーションした住宅です。
安井正(クラフトサイエンス)NPO家づくりの会所属