KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか(4)(第2回) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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閲覧数順 2024年04月25日更新

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KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか(4)(第2回)

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KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(4)(第2回)
〜阻害要因(Teach Away)があれば自明でない〜  
河野特許事務所
米国特許判例紹介
Andersen Corp.,
Plaintiff-Appellant,
v.
Pella Corp. et al.,
Defendant-Appellee.
                       
                       2009年1月20日 弁理士 河野 英仁
                
 
2.背景
 Andersen(以下、原告という)はU.S Patent No. 6,880,612(以下、612特許という)を所有している。612特許は視認性を低減した防虫網(網戸)に関する技術である。窓に取り付けられる防虫網は、虫の室内への侵入を防ぐものの、室外から眺めた場合、どうしても住居の美観を損なうことになる。住宅販売業者は住居を販売する場合、見栄えを良くするために防虫網を取り外し、住居の販売に成功した後に、再び防虫網を取り付ける。図1は612特許のFIG.5である。


図1 612特許のFIG.5

 612特許は、細いワイヤをしっかりと織った防虫網512用の材料をクレームしている。これにより、防虫機能を維持しつつ透過性を向上させ、室内の人物506及び室外の人物508からの防虫網512の目に見える程度を低減せんとするものである。

 617特許のクレーム76は以下のとおりである。なお、下線部は審査段階で補正により追加された箇所を示す。
窓ユニットに対し取り外し可能であり、通気できまた目に見える程度を低減する枠内の防虫網用材料であって、
直径0.007インチ以下、引っ張り強さが5500psiより大きい複数の網要素を含み、該網は透過率が少なくとも0.75であり反射率が0.04以下である。

(第3回につづく)