- 増井 真也
- 建築部門代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
たまたま、会社から車で30分ほどのところにイケアが新設されたということがきっかけだったのだが、実際に出向いてみるとその規模の大きさに驚かされた。リビングからキッチン、そして子供部屋の用品まで住宅になんするものはほぼすべてそろっているといえる。すべてのものがとてつもなく安いというわけではないようだが、日本のメーカーのように定価と実際の売値が倍以上も違うというようなブラックボックスがなく、訪れたクライアントには非常にわかりやすいシステムが取り入れられているといえる。
キッチンコーナーではイケアのキッチンを熟知したプランナーさんが一つ一つ丁寧に説明してくれて、実際に工事段階に入ったときの現場での調整に関する事に関しても豊富な経験の元に説明をしてくれるので、打ち合わせをする設計側としても安心して進められる感覚をいだけた。
今回のキッチンプランでは、イケアのキッチンに違うメーカーの食洗機と水洗金具をつけるというイレギュラーなものである。またレンジフードに関しても壁抜きのエルボをイケアでは販売していないということであるので、イケアのレンジフードの製造元である富士工業から直接購入することになった。そのような細やかな対応にも親切に応じてくれるスタイルは、なかなか日本のメーカーにはないものだと思う。あくまで、そちらの責任でやってくださいねというところはあるものの、うまく組み合わせれば理想的で使いやすいものになるでしょ、という柔軟な考え方が企業の体質にあるようだ。当社の製品以外のものを利用したら保証しませんとかたくなに突っぱねる日本企業の体質とは大きく異なる。これが北欧企業のおおらかさなのだろう。
ちなみにキッチンに関しては、キッチンを支える箱部分の構成、天板、扉、取っ手、ガスレンジ、レンジフード、などなどすべてをばらばらのところからクライアント自身が構成していくシステムになっている。配達も自分でどうぞ、組み立ても自分でどうぞ、できなければやってあげますよという仕組みはセルフビルド愛好者にはたまらない仕組みだ。面倒くさい人には向かないだろうが、ますいいのクライアントにはこれほど楽しいキッチン選びはないかもしれない。(日本製品を寄せ集めているようなところもあるので、結果的にTOTOと変わらないということもあるようだが・・・)