知っておきたい特許の話(2) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

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知っておきたい特許の話(2)

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知っておきたい特許の話
弁理士 河野登夫
河野特許事務所
2008年12月23日

2.制度は変化していくもの

 こうした知的財産権の中で、読者に関係が深い特許権、実用新案権及び意匠権についてさっとおさらいしてみよう。端的に言えば特許法は大発明を保護するための法律、実用新案法は小発明(考案)を保護するための法律である。

 特許制度では、申請された発明に対して審査が行われ、「新規である」など、特定の要件を満たすものが特許される。特許制度については次章以下で詳しく説明する。

 実用新案制度も古くは特許同様の制度であったが、現行制度では、申請に際しての形式的な条件を満たせば、考案の内容の良否に関係無しに登録される(無審査登録制度)。
 権利行使をする場合は、特許庁による技術評価書の取得が必要である。権利期間の短さ、使い勝手の悪さなどのために、現行制度に改定された1994年以降年々出願件数が減り続けてきた。制度の手直し(保護期間6年→10年など)で昨年には増加に転じた。とはいうものの旧制度のピーク時の1/20以下、と寂しい状態にある。

 意匠制度は物品のデザイン(形状・模様・色彩)を保護する制度である。数年前の改正で物品全体のデザインのみならず、物品の部分についても保護されることになった。例えばドライバーの「握り部」、柱上安全帯の「フック」などである。
 また、近々施行される改正法で登録後の保護期間が従来の15年から20年に延長される。またこれまで保護されなかった携帯電話の画面デザインなど、物品との関係が密接な画面デザインも保護対象となる。

 海外製のデザイン盗用品は、著名ブランド品のみならず、日用品、工業用品でも結構多い。「あれっ。ウチの製品とソックリ。でも意匠登録してないから退治できないのか。安値で市場を食い荒らされるのは困りもんだ。」という経験はないだろうか。でもご安心。不正競争防止法はソックリ品を排除してくれる。ただし、自社製品発売後3年以内に限られる。

  産業の保護に関係する法律は、産業構造の変化や時代の要請に応じて改正されていく。現行の特許制度は、1959年に公布された特許法に対して改正を何度も繰り返してできあがっている。一部のメーカーの設計/開発技術者は、特許制度に大きな改正がある都度、教育、研修をうける。

 しかし大半の技術者は入社時に1〜2日の特許教育を受けるだけと言うのが普通であろう。そこで習った特許制度が不変のものとして頭に刷り込まれている筈であるが、特許制度はめまぐるしく替わって来たのである。
 以下近時の改正をふまえて最新の特許制度を概説する。