保険料の払い込みが困難になったとき - 保険設計・保険見直し全般 - 専門家プロファイル

田中 香津奈
かづなFP社労士事務所/株式会社フェリーチェプラン 代表取締役
東京都
CFP・社会保険労務士

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対象:保険設計・保険見直し

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保険料の払い込みが困難になったとき

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かづな先生の新保険ゼミ 08.保険加入中のポイント

保険契約を有効に継続していく中で、払込期月までに保険料の払い込みが困難になるときがあります。契約者はいつでも保険契約を解約することができますが、払い込みが困難なときほど経済的リスクが高まることを考慮すると、解約は最終手段であり、前段階として他に方法がないか検討することが大切です。それぞれの理由に適した最適な方法について解説していきましょう。

一時的に困難な場合:自動振替貸付制度 

自動振替貸付制度は、解約返戻金の一定の範囲内で、保険会社が自動的に保険料を立て替え、保険を有効に継続することができる制度です。立替払いの原資はその契約の解約返戻金になるため、主に貯蓄性のある保険での対応です。保険会社による保険料の立替のため、所定の利息がつきます。貸付利率は、契約の時期などにより異なりますが、予定利率が高いほど、貸付利率も高くなるのが一般的です。貸付金と利息は、その全額または一部をいつでも返済することができます。保険種類や保険会社によって基準が異なり、保険種類としては適用されても法人契約では利用できない、などの場合あります。

急に現金が必要になった場合:契約者貸付制度や配当金の引き出し

契約者貸付制度は、解約返戻金の一定の範囲内で、保険会社から貸付を受けることができる制度です。貸付の原資はその契約の解約返戻金になるため、主に貯蓄性のある保険での対応です。貸付の金額は、解約返戻金の70〜90%程度の範囲内で、所定の利息がつきます。貸付利率は、契約の時期などにより異なりますが、予定利率が高いほど、貸付利率も高くなるのが一般的です。手続きは簡単で、審査等を受ける必要もなく、資金の使い道の制限もありません。貸付金と利息は、その全額または一部をいつでも返済することができます。返済せずに満期を迎えたり、万一の場合には、それぞれの満期保険金や死亡保険金から、元金と利息が差し引かれます。保険種類や保険会社によって基準が異なり、保険種類や保障期間の残存年数によっては利用できない、などの場合もあります。
また、配当金の受取方法を「積立」にしている場合、積み立てた全部または一部の配当金の引き出しが可能です。

保険料の負担を軽くしたい場合:減額や特約解約

減額は、保障の一部だけを解約することで、保険金額を減額した分だけ、それ以降の保険料の負担を軽くする方法です。減額部分に対する解約返戻金があれば、それを受け取ることができます。一般的に、主契約、特約のいずれも減額できます。主契約を減額すると、各種特約の保障額が同時に減額される場合もあります。 保険料は変更時点の年齢ではなく、契約時の年齢にさかのぼって計算されます。保険種類や保険会社によって基準が異なり、最低保障額が設定されている、などの場合もあります。

特約解約は、付加している特約の一部や全部を解約する方法です。特約の種類や保険会社によって基準が異なり、継続したい特約も同時に解約しなければならない、などの場合もあります。

保険料の払い込みを止めても保険契約を継続したい場合:払済保険や延長(定期)保険 

払済(はらいずみ)保険は、保険料の払い込みを止めて、その時点の解約返戻金を使って、一時払いで終身保険や養老保険などを買い取る方法です。払済の原資はその契約の解約返戻金になるため、主に貯蓄性のある保険での対応です。払済の保険金額は、元の契約より小さくなりますが、保険期間はそのままで、付加している特約は継続できません。保険種類や保険会社によって基準が異なり、契約してから数年は利用できない、最低保証額が設定されている、などの場合もあります。

延長(定期)保険は、保険料の払い込みを止めて、その時点の解約返戻金を使って、従前と同じ保険金額の一時払い定期保険を買い取る方法です。延長(定期)保険の原資はその契約の解約返戻金になるため、主に貯蓄性のある保険での対応です。延長(定期)保険の保険金額は、元の契約と同額ですが、保険期間が短くなり、付加している特約は継続できません。保険種類や保険会社によって基準が異なり、契約してから数年は利用できない、最低保証額が設定されている、などの場合もあります。

保険金額が多少下がっても保険期間を重視したいという場合は払済保険、保険期間は短くなっても保険金額を維持したい場合は延長(定期)保険、というのが合理的です。

一度解約すると、元の契約内容に戻すことはできません。解約の前段階でのさまざまな方法により契約を継続した場合には、新しく契約し直すよりも有利な場合もあります。

ここがポイント!

保険料の払い込みが困難になるとき、すぐに解約するのではなく、自動振替貸付制度、契約者貸付制度や配当金の引き出し、減額や特約解約、払済保険と延長(定期)保険、などの制度を上手に活用しましょう。基本は保険料の払い込みが困難にならないよう、加入時の設定には十分注意することですが、保険料の払い込みが困難な要因が、保険料の負担が大きいためということでしたら保険そのものの見直しが必要です。

(2005.11.20公開 2015.9.21更新)

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