20年前の阪神・淡路大震災:火災編 - 住宅設計・構造全般 - 専門家プロファイル

中舎 重之
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20年前の阪神・淡路大震災:火災編

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      火 災 編
   

 神戸大学の室崎研究所によると、地震直後の1時間で、少なくとも神戸市内では 

55件が火災が発生していると云う。  折からの巻き上げるような強風が災いして、

炎は方向を、あちらこちらへと変える。  火は瞬く間に燃え広がり、

市内だけでも100件近くに上がった報告されている。


 出火件数22件と神戸市内での最悪の被災地:長田区では、地震発生後1時間 以上たった、

午前7持頃には、消防車11台、署員97人が動員された。 

しかし、倒壊家屋やガレキに道路は塞がれ、消防車の行く手が阻まれました。 

何とか、火災現場に辿り着きましたが、消防車には地震による断水にて消火栓の 

水が届かないと云う結果が待っていました。  

それではと、防火水槽の水で消火を始めましたが、それも30分の短い時間で、 水も尽きました。 

水の出ないホースを握りしめる消防士の無念の胸中は、察するに余りあります。


    午前7時30分、長田消防署は水を海水に求める決断をしました。 

長田港に消防艇を接岸させ、海水をホースにて送る作戦です。 

海から2km近くもホースを連結するには、消防車が5台は必要になります。  

大阪からの10台の応援部隊も、幹線道路の渋滞にて到着が大幅に遅れました。 

消防士が交通整理をして、応援部隊の10台の消防車を配置したのが夕方でした。 

ようやく消火体制が取れたのです。 放水を始めたのですが、

道路を横断するホースの上を一般車両が、遠慮する事なく 通行します。 

その為にホースが破裂して水圧の低下を来しました。 

その水圧調整を計るべく、各消防車に無線連絡をしますが、

周波数が全国共通の為 混線して用をなさないのです。 

消防士が連絡のため走り廻る事態が現出しました。


    最終的に他府県からの応援がすべて到着し、消防車100台、署員500人と 

云う「消火対応が出来る態勢が整ったのは、火災発生から18時間あまり経過し、 

日付も変わった18日午前0時を過ぎていました。


    同日の午前10時には、19自治体から救援隊や消防隊の計253隊、 

1180人、ヘリコプター8機が投入されましたが、時 既に遅し。 

長田区では、4072棟が焼失し、多数の人命が失われた後でした。



    地震発生の数日後の火災の話です。

  地震発生から数日たった後にも、火災が起き続ける事が際だって多かったのが、 

今回の地震災害の特徴であったようです。     


地震発生から1日半たった18日昼頃、復旧した電気の通電により、断線して 

いる電線や、壊れた電気機器類、家庭用の水槽類からの漏電による出火が、相次ぎ 起こりました。   

 18日午後8時頃、東灘区本山中町の空き家から出火して、近隣の住宅8棟が 焼失しました。


  翌19日にも7件の火災が発生しましたが、原因はガレキの下で燻っていた火種 が、

西風に乗り飛び火した見られています。


  地震発生から6日たった23日になっても、長田区梅ケ香町の住宅地で、

民家や 倉庫の11棟が延焼しています。 

原因は、漏電、消火活動の不充分とか、ガス漏れによる引火だとか言われています。

    火災が焼け止まった場所の話です。

  防火帯の働きをした場所は、道路、公園、河川などの、比較的に広い面積を有する 

場所と、帯状の地形が有効でした。 

コクリートの耐火建築と思われたビルでも、マドから火が入り燃えました。 

風上に開口部の少ない建物は、火が建物に入らず、そこで火災が止まった例が少数 

ですが有りました。


    防火には、まず広い空間の確保が必要ですが、樹木も防火帯の働きするケースも 

有ります。一番燃えにくい木は常緑広葉樹です。 此の木には、水分を沢山含んで 

いて防火力が強いようです。 火に強い木を列記します。 

イヌマキ、アスナロ、スダジイ、アカガシ、シラカシ、ツバキ、サザンカ、カシワ、 センダン 等です。


燃えやすく危険な木は、アカマツ、クロマツ 等の針葉樹です。



    都市火災の消火での航空消防の話です。

  近年の欧州地中海沿岸では、森林火災が多発しています。 

北米地域においては、森林火災の規模が大型化しております。 

これらの消火活動では、航空機が主流のようです。 ヘリコプターでの搭載水量に 

比べて、桁違い水量が運べるのが理由です。 

航空機を用いた空中消火は、大規模火災に有効である事が認識されています。


    特に、欧州およびカナダ東部においては、飛行艇の活用が目を見張らせます。 

水上を滑走しながら、取水して、そのまま飛び立てる飛行艇には、消火の水と火災 

現場とを直結できる、他には無い優れた機能が魅力です。


    世界では、航空消防の中心となる中型固定翼の飛行艇と、陸上機を合わせると、 

230機が運用されていると言われています。 

欧州と北米では、消防飛行艇が137機も運用されており、

航空消防の主力である 事は論を待ちません。


    日本は、高湿多雨地帯であり、森林火災は極めて少ないのが特徴です。 

但し、地球上に起きる巨大地震の10分の1が、日本列島に集中しています。 

今後、10~30年間に起きるであろう巨大地震(M8クラス)を東から順に 記します。

東日本大震災の余震、房総沖地震、東海地震、東南海地震、南海地震と 

太平洋の沿岸沿いで発生します。

被害を受けるであろう都市は、仙台市、東京都、 川崎市、横浜市、静岡市、名古屋市、大阪市となります。 

森林火災ではなく都市火災に備えて日本でも、海上自衛隊の救難飛行艇:US-2 

を消防飛行艇に 改造して備える事を切に望みます。


最後に、世界での消防飛行艇の性能データを記します。

           日本:新明和工業      カナダ:ボンバルテェア   ロシア:ベリエフ       

          US-2(消防用)      CL-415                 Be-200 

推進系統          4発プロペラ       双発プロペラ              双発ジェット 

最大離陸重量(t)    47.7            19.9                    37.2 

最大航続距離(km) 2300           2300                    3600 

巡航速度(km/h)    480             280                      610 

着水可能波高(m)      3.0             1.2                      1.2 

搭載水量(t)         15.0             6.0                    12.0

  * US-2の特性は、波の高い荒天時にも、短い距離で離着水出来る事です。

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