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イミテーション・ゲーム 1 人の本当の気持ちを解読できたら良いのに

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恋愛心理 自己受容
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密事実を基にしたお話しだそうです。

第2次世界大戦、ドイツ軍は、世界最強の解読不能と言われた「エニグマ」と呼ばれる暗号機を使って各部隊に指令を出し、連合軍を窮地に陥れていました。

イギリス軍は、このエニグマを解読する為、1人の天才数学者アラン・チューリング博士に極秘依頼し、この不可能に挑戦します。

のっけから元々この極秘プロジェクトのリーダーでチェスの天才ヒューと意見が合わず、チーム内で孤立したまま、独自の研究を進める羽目になってしまいます。

暗号解読の鍵はクロスワードパズルの答えを出す原理に近いものがあると仮説し、イギリス国内から「クロスワードパズルを10分以内に解ける者には、国から仕事を与える」と募集を出し、それを読んでテストに訪れたパズルの天才ジョン(女性・演キーラ・ナイトレイさん)と出会います。

彼女の協力を得て、次第にチーム内は結束を固めて行くのでした。

気が遠くなるようなアルファベットの組み合わせを試し、意味のある言葉を見つけ出し暗号を解読する為に、膨大な資金を使い将来コンピュータの基となる「クリストファー」と名付けた機械を作り上げて行くのですが、なかなか成果が上がらず、チューリング博士は、国から期限を定められ、次第に時間に追い詰められて行きます。

「我々の敵はドイツ軍ではない。時間だ」とのセリフが印象的です。
話の展開は、戦争映画ではありますが、暗号解読に挑むプロジェクトチームの解読機開発秘話と言うもので、NHKの「プロジェクトX」が好きな方は、きっと感動するはず。



ここからはネタばれになってしまいます。いつもどこまでネタをばらしてしまって良いものか迷いますが、今回もネタをばらしてしまってもほとんど作品の面白さを損なわず、むしろばらしてしまった方が、この映画に興味が無かった人も見ようかと思ってもらえるのではないかとの思いからばらします。


チューリング博士が、なぜこれほど「暗号の解読」に熱意を傾けるのかが描かれます。

彼のハイスクール時代(当時のイギリスでは寄宿制度が一般的であり、生徒達は全員寄宿舎で寝食を共にしていました)、冗談や例え話、比喩的表現と言った物が理解できず、学友たちとコミュニケーションが取れず悩んでいました。
また、秩序や合理性を重んじるあまり、食事中に皿に盛られる「人参やグリンピース」を「きちんと色分けして」からでないと食べられない為、一粒づつきれいに分別するという、他人からは理解されない行動の為、周りからいじめられてしまいます。

しかし唯一、いじめから庇って助けてくれ味方になってくれる友人がいました。クリストファー君です。

若きチューリングから悩みを打ち明けられたクリストファーは彼に
「君にとっては皆の会話自体がまるで「暗号」のように謎に満ちたものなんだね。だったら余計、君には向いているかも知れない」
と「暗号解読に関する数学の本」を渡します。
チューリング博士は、上手く自分の気持ちを人に伝えるのに適した言葉が、どんな言葉かわかりません。

プロジェクトチームのヒューが、機械を効率的に動かす為のヒントを協力的に提案してくれた時も
「この提案は・・・悪くは無いね」
なんて一般的にはひねくれたような言い方しか出来ません。
いじめられた記憶から無意識的に人と壁を作ってしまっているのと、自分のそんな言い方が、人からはどう受け止められるのかが想像できない為に、「なんだこいつは?!」と思われても仕方ないような言い方しか出来ないのです。

そんな時、ジョンが一言「そこは、ありがとうって言えば良いのよ」と教えてくれます。

そう、チューリング博士にとって,かつてのクリストファーやジョンが、
世界の言葉の意味を解読して教えてくれる、唯一の「暗号解読機」
なのですね。
たった一人でも味方になって他人の言葉を解読してくれて、翻訳してくれるような人がいれば救われるし、チューリング博士はそんな「解読機」を象徴的に必要としているのです。

そんな切実な思いがチューリング博士を突き動かしていたかもしれないと思って映画を思い返すと、再び深い感動が湧きおこります。

誰に取っても、照れくさくて素直な気持ちが言えなかったり、意地があって本音を言えなかったり、事を荒立てたくなくて、曖昧な言い方をすることがあります。
ですから「言葉」で伝えたとしても、あなたの気持ちがきちんと相手に伝わっているとは限りません。
そんなあなたの言葉を聞いた相手は、あなたが何を伝えたいのか正確には受け取ってくれていないかも知れないのです。
それは正に「暗号」のように謎に満ちた言葉の羅列でしかないかも知れません。


デートにお誘いしても、相手から「仕事があるのでその日は無理です」なんて返事が来て、それは「デートにはもう誘わないでください」と言う意味なのか、それとも「本当にその日は仕事が入っているので、別の日なら良いのか?」と思い悩んでしまうような事ってありますよね。
また誘っても良いものかどうか?難しいですよね。

なんでもはっきりと伝えるのが良い、とも思いませんが、誰でも「暗号解読機」のようなものがあればいいのにと、思った事はありませんか?

アスペルガー傾向のある方は、日常がそんな暗号に満ちた会話のように感じられて、思い悩んでいるのだとしたら、それは大変な労力を要する事でしょう。
相手の気持ちが察する事が出来ない為、判断がつかず、自分も身動きが取れなくなってしまいます。

「心理学」という学問が出来たのも、最初はそんな「他人の気持ち」を解読したいという願望から発展したのかも知れませんね。

チューリング博士を演じるのは、BBC制作の「シャーロック」で、シャーロック・ホームズ役で人気者になったベネディクト・カンバーバッチさんです。

シャーロックも高機能社会不適合者という役でしたが、今回のチューリング博士もかなり重なる部分が多い「アスペルガー傾向が高い天才数学者」の役ですから、シャーロックのカンバーバッチさんのファンの方は、きっと違和感なく満足されると思います。
そして今回、チューリング博士には更に秘密を抱えています。

彼は「同性愛者」だったのです。

1950年代、当時のイギリスでは「同性愛」は禁じられた犯罪行為でした。
戦後になって、あるきっかけでスコットランドヤードから目を付けられた博士は「「同性愛者」として裁かれると言う悲劇が起こるのです。
次回は最近メディアで耳にする事も多い「LGBT」レズ・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの事に関して書いてみたいと思います。


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2021年公認心理師(国家資格)取得13年間で1万人以上の相談実績を基に、深く人を理解し心のもつれた糸を解きほぐします。恋愛が出来ない、自己否定感、人と接するのが怖い、夫婦間の亀裂など、人間関係全般、アスペルガーの方の社会適応などのご相談。

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