- 橋本 健
- 有限会社環境計画スタジオ一級建築士事務所 代表取締役
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
今回ご紹介するお客様は、ご主人が61歳、奥様が60歳のふたり暮らしです。
ご主人の定年退職を機に住みなれたご自宅の改築をご相談されました。当初は新築かリフォームか決めかねておいででした。私共ではまず現況調査をし、その結果をふまえてそれぞれのメリットとデメリットをお知らせします。この家は、基礎及び土台の老朽化はそれほど進んでおらず、洗面脱衣室と浴室に水が回り、朽ちていたものを一部交換する程度でした。
例えばご予算を2000万円とした場合「新築」だと現行の構造基準にみあう耐震性は確保できますが、取壊し費用と新たな基礎と躯体費用がかかる為、残った費用で内装と設備をまかなわねばなりません。一方「スケルトンリフォーム」ですと、基本構造躯体は(一部補強を入れるとしても)そのまま使えることから、内装・設備に回せる費用は大幅に確保できます。この点から「スケルトンリフォーム」を選択されました。
ご要望としては、1階の狭くて使い勝手の悪いダイニングキッチンと居間を一体化し、広く快適にしてもらいたい。二人の子供達が結婚し、空き部屋となったスペースを有効活用したい。との二点で、リフォーム部位は、ダイニングキッチン・リビング・主寝室・収納・風呂・洗面所・トイレさらにご主人様の書斎など盛りだくさんな内容でした。添付図(ビフォー)をご覧下さい。
先ほどの現況調査をもとに現状かかえる問題点をわかりやすくまとめ、お客様にご説明します。これは一般的な住宅や建築に関する知識が充分でないお客様に、専門家の立場から改善すべき点をお知らせし、共有することにあります。続いて添付図(アフター)をご覧下さい。
問題点を解消し、要望を実現する為にどういう部屋の配置構成がよいか。分かりやすく色分けされた略図で示しています。こうすることで、平面図などでは伝わりにくい意図が理解しやすくなり、基本的な方向性を明確に定めることができます。さらに添付図(プレゼン)をご覧下さい。
基本的な方向性とはどのようなものかを、CGパースでご説明し、出来上がりのイメージを共有します。
ここまでくると、あとは内装や設備のグレードを調整し、ご予算内におさめられるようにできれば、着工できるということがお分かりになると思います。実際の施工では、壁や天井をはがしてみると思わぬ造りになっていることもあるのですが、その際にも基本的方向性はたがえず、その状況に対処できる方法を選択します。
お客様のご要望を注意深く聞き取り、言葉では言い表せない隠れたイメージなり部屋の構成なりをライフスタイルにつなげることができた成功例ではないでしょうか。
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