- 中舎 重之
- 建築家
対象:住宅設計・構造
建築:天井の話
今でも、田舎に行きますとススで黒光りした梁が直接見られる民家があります。
天井がなく小屋組まで見えます。 古い寺院も同じですね。
日本の建築での天井は室町時代の書院造り、安土桃山時代の城郭建築あたりが始まりと言われています。
江戸時代の農民が住む家には天井を張る事を禁じていました。
現在の住宅では天井を張るのは当たり前です。
次に天井の効能を記します。 屋根と天井との空間を天井裏、小屋裏、屋根裏などと呼びます。
此の空間は自然と生活を区画するクッションとして機能しています。
夏の暑さは、屋根からの熱気を屋根裏の空気が緩和して天井に伝えます。
逆に、寒い冬の日では天井が無ければ、せっかく暖房した熱を屋根から逃がしてしまい
暖房効果を低下させます。
北国の窓は二重窓にして間に空気を挟んで寒さを防ぎます。
空気は木材や金属に比べて熱の伝導率が低いので効果があります。
天井のある部屋は、天井裏と言う空間にて、断熱、保温の効率を上げています。
天井が造る空間は、音を消す働きもしています。
天井が無く2階の床のままですと音が直線的に響きます。
天井を張ることで2階の物音が聞こえず静かなのです。
さらに、室内の音響効果においても大きな働きをします。
次に天井の高さの話です。 団地サイズとして2.35mが横行していますが感心しません。
広さと高さは比例すべきです。 広い部屋ならそれに見合う高さが必要です。
天井が低いと上からの圧迫感があり、心理的にも、実質的にも、息がつまります。
広さが6帖なら天井高さは2.4m、12帖以上なら天井高さは2.7~2.9mが目安と思います。
天井を高く見せる工夫も多々あります。 形で言えば、折り上げ天井(和・洋風)、
船底天井(和風)、 小屋裏勾配天井(和・洋風)等です。
以上です。 2014年6月 中舎重之
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