第4章 裁判官はなぜ怒ったのか(16) - 刑事事件・犯罪全般 - 専門家プロファイル

羽柴 駿
番町法律事務所 
東京都
弁護士

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対象:刑事事件・犯罪

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閲覧数順 2016年12月10日更新

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第4章 裁判官はなぜ怒ったのか(16)

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(第16回)

 第5回公判では、まず検察官が訴因の変更を請求し、裁判官はこれを許可しました。変更前の訴因は、車が停止した状態から発進するときに自車直前をアンダーミラーなどで確認しなかったことが過失とされていましたが、新訴因では、発進時だけでなく、その後の進行中も前方左右の歩行者の有無を確認しなかった事が過失とされるものになりました。

これは検察官が、当初から弁護人が指摘してきたとおり、この事故が発進時の事故ではないという事を認めざるを得なくなったことを意味しています。尚、読者にはこの新訴因でも注意義務の対象はあくまで、「前方左右」とされていることに注意して頂きたい。つまり車体の「後方」や「側方」に対する注意義務は含まれていないのです。これは重大なポイントの一つです。またこの日は弁護人の申請した示談書が証拠採用され(被害者の両親とY運転手及び車所有のA社長との間で示談が成立していました)、A社長の証人尋問も行われました。A社長は、Y運転手の日頃の真面目な働きぶりや人柄、事故後の被害者側への謝罪と示談の話し合いなどについて証言しました。

 第6回公判では被告人質問が行われました。Y運転手は弁護人、検察官、そして裁判官の質問に答えて、これまでの証拠調べで明らかになった事情に基づき、改めて事故当時の状況を詳細に供述しました。

 以上で検察官、弁護人のいずれも立証を終えたので、裁判官は証拠調べをこれで終えることを宣言しました。そして、次回に検察官の論告・求刑、次々回に弁護人の弁論を行った上で判決することとなったのです。
                                      (次回へ続く)