孫正義の銀座ティファニービルの購入は、割の合わない投資なのか? - 相続税 - 専門家プロファイル

川端 雅彦
アイネックス税理士法人 代表社員
京都府
税理士

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対象:遺産相続

村田 英幸
(弁護士)
村田 英幸
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閲覧数順 2016年12月07日更新

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孫正義の銀座ティファニービルの購入は、割の合わない投資なのか?

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毎回、破天荒な買収劇で巷の話題をかっさらっていく孫正義率いるソフトバンクですが、今回も銀座ティファニービルを、320億円で購入という離れ業で、周りを驚かせてくれました。

しかし、この購入に対して、ロイターは「関係筋によると、買収金額から得られる期待利回り(キャップレート)は2.6%とみられ、アベノミクス効果への期待から東京都心の不動産価格が回復し始めて以来、最も割高な投資になるという。」と述べています。

日本の代表的な不動産投資信託(REIT)の期待利回りは4%ぐらいなので、とても割の合う投資ではないということです。

しかし、そんなことは、孫氏も百も承知の上で、それでも投資したのは、何かしら算段があったはずです。

私は、今回はソフトバンクではなく、孫正義「個人」で購入したというところに、孫氏の計算高い目論みがあったのではないかと思うのです。

最近の株高の影響で、孫氏の資産は1兆8千億円を超えたと言われてます。

そんな、孫氏に、もしも万が一のことが起こったとすると、改正後の相続税法では55%に近い税金を、お上に召し上げられてしまいます。

江戸時代の過酷な年貢でも、5公5民でしたので、55%というと、懲罰に近いと言えますが、孫氏は、相続税を抑えようとする魂胆があったのではと邪推するのです。

ちょっと計算してみましょう。

現金で320億円持っていたとすると、相続の時の課税財産としての評価は、額面通り「320億円」です。

これを、今回の銀座ティファニービルに投資したとすると、相続税の評価額は次のように「劇的」に下がります。

銀座ティファニービルの土地は、702.84㎡で、路線価(相続税評価額を計算するときに使います。)は14590千円/㎡ですので、土地の評価額は次のように計算されます。

 702.84㎡×14,590千円=102億5400万円

さらに、賃貸している建物が建っているので、貸家建付地という評価になり、ここから24%(この説明は省略します。)引き算されるので、次のように計算されます。

土地の評価額 102億5400万円×(1-0.24)=77億9,304万円

次に建物ですが、建物は相続税評価額=固定資産税評価額となります。

この建物(5622.66㎡)は、1987年(昭和62年)に建ってます。当時の鉄骨・鉄筋コンクリートの単価は19万8千円ぐらいですので、建築価格はおおよそ

5622.66㎡×19万8千円=10億7800万円

になります。(あくまで、当時の相場による推測です。)

さらに、2008年(平成20年)に隈健吾氏設計による改修がなされています。この額は、わからないのですが、㎡当たり20万円とすると、おおよそ11億2453万円になります。(隈先生、安いかも知れませんが、ご容赦ください!)

固定資産税の課税標準は、取得価格の6割ぐらいですので、建築時と改修時のそれぞれは、次のようになります。

建築当初分(1987年) 10億7800万円×60%=6億4680万円

改修時分(2008年)   11億2453万円×60%=6億7471万円

そして、ここから、減価していくのですが、2013年-1987年=26年、2013年-2008年=5年の年月が経過しています。

この建物の固定資産税上の耐用年数は50年ですので、毎年2%づつ減価していくとすると、それぞれ次のようになります。(厳密にはこういう計算方法ではありませんが、おおよそということで。)

 

建築当初分 6億4680万円×(1-0.02×26年)=3億1058万円

改修時分   6億7471万円×(1-0.02×5年) =6億724万円

 

建築と改修を合わせた、相続税評価額=固定資産税評価額は、おおよそ9億2000万円ぐらいになります。

さらに、賃貸物件は、ここから借家権割合0.3を引き算するので、次のように計算されます。

建物の相続税評価額 9億2000万円×(1-0.3)=6億4,400万円

話を整理すると、320億円で購入したティファーニー銀座ビルの相続税評価額は、次のようになります。

     

77億9,304万円(土地部分)+6億4,400万円(建物部分)≒84億3,704万円

つまり、320億円を現金のままもっておくと、320億円の相続税評価額となるのですが、それを銀座ティファニービルに置き換えると、84億にまで下がるのです。

さて、孫氏の総資産は1兆円を超えるため、どう考えても相続税は最高税率の55%の洗礼を受けることは確実です。

したがって、今回の購入により孫氏が負担すべき相続税は

(320億円-84億円)×55%≒130億円

減額されることになります。

これが、孫氏の隠れた目論見であったと思うのです。

つまり、孫氏は、320億-130億円=190億円で取得したに等しいことになるわけです。

話を戻して、当初の2.6%の利回りでキャッシュフローを計算すると、320億円×2.6%=8億3200万円となります。

これを、相続税節税額を引き算した後の純投資額で割ると、投資利回りは

               8億3200万円÷190億円=4.37%

となります。

(厳密には、節税額は将来において実現するので、本来は現在価値に割り戻す必要があります。)

そうすると、日本の代表的な不動産投資信託(REIT)と全く引けを取らない、立派な投資に化けてしまいます。

このように考えると、税制は企業と個人の投資や消費行動に大きな影響を与えるわけですが、今回の銀座ティファニービルへの投資は、孫氏のしたたかで考え抜かれた、まさに「孫氏の兵法」と言えるのかも知れません。

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