商標権者の不正使用による取消審判 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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商標権者の不正使用による取消審判

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相続

商標権者の不正使用による取消審判

商標権者の不正使用による取消審判請求と信義則

 最高裁昭和61・4・22、『商標・意匠・不正競争判例百選』App8事件、ユーハイム事件

商標権者甲のした自己の登録商標に類似する商標の使用が乙の業務に係る商品と混同を生ずるものであっても、右使用商標が甲乙間の裁判上の和解において乙が甲にその使用を認めたものであり、しかも、右和解において、乙が甲の登録商標に対する登録異議の申立を取り下げてそれが登録されることを認め、その対価として甲から和解金を受領し、その結果甲が右使用商標を継続して使用したという事実がある場合は、乙が商標法51条1項に基づき右登録商標の登録を取り消すことについて審判を請求することは、信義則に反するものとして許されない。
商標法511項,民法12

(注)商標のライセンス契約の実務では「不抗争条項」として、ライセンシー(使用権者)はライセンサー(商標権者)の権利の有効性を審判・訴訟などで争わない旨を定めるのが通例である。

最高裁昭和56・2・24、『商標・意匠・不正競争判例百選』93頁、中央救急心事件

商標法51条1項にいう「故意」があるとするには、商標権者において指定商品について登録商標に類似する商標を使用し又は指定商品に類似する商品について登録商標若しくはこれに類似する商標を使用するにあたり、右使用の結果、商品の品質の誤認又は他人の業務に係る商品と混同を生じさせることを認識していたことをもって足りる。

(参照条文)

商標法第51条  商標権者が故意に指定商品・指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品・指定役務に類似する商品・役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用であって商品の品質・役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品・役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

2  商標権者であった者は、前項の規定により商標登録を取り消すべき旨の審決が確定した日から5年を経過した後でなければ、その商標登録に係る指定商品・指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について、その登録商標又はこれに類似する商標についての商標登録を受けることができない。

(除斥期間)

第52条  前条第1項の審判は、商標権者の同項に規定する商標の使用の事実がなくなった日から5年を経過した後は、請求することができない。