地方自治法 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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対象:民事家事・生活トラブル

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地方自治法

条例と法律の関係
最高裁大法廷昭和50・9・10、徳島市公安条例事件
一 道路交通法77条1項4号は、その対象となる道路の特別使用行為等につき、各地方公共団体が、条例により地方公共の安寧と秩序の維持のための規制を施すにあたり、その一環として、これらの行為に対し、道路交通法による規制とは別個に、交通秩序維持の見地から一定の規制を施すことを排斥する趣旨を含むものではなく、集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和二七年徳島市条例)3条3号の規制と道路交通法77条及びこれに基づく徳島県道路交通施行細則による規制とが一部重複しても、道路交通法による規制は条例の規制の及ばない範囲においてのみ適用されるものと解すべく、右条例3条3号、5条の規定が、道路交通法77条1項4号、3項、119条1項13号、徳島県道路交通施行細則11条3号に違反するものではない。
二 刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法31条に違反するかどうかは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによってこれを決定すべきである。
三 集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和二七年徳島市条例)3条3号が、集団行進等についての遵守事項の一として「交通秩序を維持すること」を掲げているのは、道路における集団行進等が一般的に秩序正しく平穏に行われる場合にこれに随伴する交通秩序阻害の程度を超えた、殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為を避止すべきことを命じているものと解され、このように解釈した場合、右規定は右条例5条の犯罪構成要件の内容をなすものとして憲法31条に違反するような不明確性を有するものではない。
四 被告人が、先頭集団直近の隊列外に位置して、だ行進をしたり、笛を吹いたり、両腕を前後に振って合図する等して、集団行進者にだ行進をさせるよう刺激を与え、集団行進者がだ行進をするようせん動した場合において、集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和二七年徳島市条例)3条3号、5条の集団行進者が交通秩序の維持に反する行為をするようにせん動した所為と、道路交通法77条1項4号、3項、119条1項13号、徳島県道路交通施行細則11条3号の警察署長の付した道路使用許可条件に違反してだ行進をした所為とは、観念的競合の関係にある。

公共施設の設置・管理の条例主義と条例の処分性
最高裁平成21・11・26
市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為は,当該保育所の利用関係が保護者の選択に基づき保育所及び保育の実施期間を定めて設定されるものであり,現に保育を受けている児童及びその保護者は当該保育所において保育の実施期間が満了するまでの間保育を受けることを期待し得る法的地位を有すること,同条例が,他に行政庁の処分を待つことなくその施行により当該保育所廃止の効果を発生させ,入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して,直接,上記法的地位を奪う結果を生じさせるものであることなど判示の事情の下では,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。

最高裁大法廷平成8・8・28
一 土地収用法36条5項所定の署名等代行事務は、都道府県知事に機関委任された国の事務である。
二 駐留軍用地特措法3条の規定による土地等の使用又は収用に関して適用される場合における土地収用法36条5項所定の署名等代行事務の主務大臣は、内閣総理大臣である。
三 地方自治法151条の2第3項の規定による職務執行命令訴訟においては、裁判所は、主務大臣の発した職務執行命令がその適法要件を充足しているか否かを客観的に審理判断すべきである。
四 駐留軍用地特措法は、憲法前文、9条、13条、29条3項に違反しない。
五 内閣総理大臣の適法な裁量判断の下に沖縄県内の土地に駐留軍用地特措法を適用することがすべて許されないとまでいうことはできず、同法の同県内での適用が憲法前文、9条、13条、14条、29条3項、92条に違反するということはできない。
六 使用認定が無効である場合には、駐留軍用地特措法14条、土地収用法36条5項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることは違法である。
七 使用認定に取り消し得べき瑕疵があるとしても、駐留軍用地特措法14条、土地収用法36条5項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることは適法である。
八 駐留軍の用に供するためにされた使用認定の対象となった沖縄県内の土地が、沖縄復帰時において駐留軍の用に供することが日米両国間で合意された土地であり、その後における駐留軍の用に供された施設及び区域の整備縮小のための交渉によっても返還の合意に至らず、駐留軍基地の各種施設の敷地等として他の多くの土地と一体となって有機的に機能しており、駐留軍基地から派生する問題の軽減のための対策も講じられてきたなど判示の事実関係の下においては、同県に駐留軍基地が集中している現状や右各土地の使用状況等について沖縄県知事が主張する諸事情を考慮しても、右各土地の使用認定にこれを当然に無効とする瑕疵があるとはいえない。
九 土地収用法36条2項は、土地調書及び物件調書が有効に成立する段階で、調書を土地所有者及び関係人に現実に提示し、記載事項の内容を周知させることを求めているものと解される。
一〇 駐留軍用地特措法3条の規定により沖縄県内の土地を使用する手続において、沖縄県知事が同法14条、土地収用法36条5項に基づく署名等代行事務の執行を懈怠していることを放置することは、これにより著しく公益を害することが明らかである。
(注)機関委任事務は廃止された後、法定受託事務とされた。


法定受託事務に関する地方自治法上の代執行の手続
大臣による是正の要求(地方自治法第245条の5)
都道府県による市町村に対する是正の勧告(第245条の6)
大臣による都道府県に対する是正の指示(第245条の7)
代執行等
第245条の8  各大臣は、その所管する法律若しくはこれに基づく政令に係る都道府県知事の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは当該各大臣の処分に違反するものがある場合又は当該法定受託事務の管理若しくは執行を怠るものがある場合において、本項から第8項までに規定する措置以外の方法によってその是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正し、又は当該怠る法定受託事務の管理若しくは執行を改めるべきことを勧告することができる。
2  各大臣は、都道府県知事が前項の期限までに同項の規定による勧告に係る事項を行わないときは、文書により、当該都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを指示することができる。
3  各大臣は、都道府県知事が前項の期限までに当該事項を行わないときは、高等裁判所に対し、訴えをもって、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる。
4  各大臣は、高等裁判所に対し前項の規定により訴えを提起したときは、直ちに、文書により、その旨を当該都道府県知事に通告するとともに、当該高等裁判所に対し、その通告をした日時、場所及び方法を通知しなければならない。
5  当該高等裁判所は、第3項の規定により訴えが提起されたときは、速やかに口頭弁論の期日を定め、当事者を呼び出さなければならない。その期日は、同項の訴えの提起があった日から15日以内の日とする。
6  当該高等裁判所は、各大臣の請求に理由があると認めるときは、当該都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判をしなければならない。
7  第3項の訴えは、当該都道府県の区域を管轄する高等裁判所の専属管轄とする。
8  各大臣は、都道府県知事が第6項の裁判に従い同項の期限までに、なお、当該事項を行わないときは、当該都道府県知事に代わって当該事項を行うことができる。この場合においては、各大臣は、あらかじめ当該都道府県知事に対し、当該事項を行う日時、場所及び方法を通知しなければならない。
9  第3項の訴えに係る高等裁判所の判決に対する上告の期間は、1週間とする。
10  前項の上告は、執行停止の効力を有しない。
11  各大臣の請求に理由がない旨の判決が確定した場合において、既に第8項の規定に基づき第2項の規定による指示に係る事項が行われているときは、都道府県知事は、当該判決の確定後3月以内にその処分を取り消し、又は原状の回復その他必要な措置を執ることができる。
12  前各項の規定は、市町村長の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは各大臣若しくは都道府県知事の処分に違反するものがある場合又は当該法定受託事務の管理若しくは執行を怠るものがある場合において、本項に規定する措置以外の方法によってその是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときについて準用する。この場合においては、前各項の規定中「各大臣」とあるのは「都道府県知事」と、「都道府県知事」とあるのは「市町村長」と、「当該都道府県の区域」とあるのは「当該市町村の区域」と読み替えるものとする。
13  各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る市町村長の第一号法定受託事務の管理又は執行について、都道府県知事に対し、前項において準用する第一項から第8項までの規定による措置に関し、必要な指示をすることができる。
14  第3項(第12項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の訴えについては、行政事件訴訟法第43条第3項 の規定にかかわらず、同法第41条第2項 の規定は、準用しない。
15  前各項に定めるもののほか、第3項の訴えについては、主張及び証拠の申出の時期の制限その他審理の促進に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
   


行政権の主体としての地方公共団体の出訴資格
最高裁平成14・7・9、宝塚パチンコ店規制条例事件
1 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は,不適法である。
2 宝塚市が,宝塚市パチンコ店等,ゲームセンター及びラブホテルの建築等の規制に関する条例(昭和58年宝塚市条例)8条に基づき同市長が発した建築工事の中止命令の名宛人に対し,同工事を続行してはならない旨の裁判を求める訴えは,不適法である。


直接解職請求(リコール)
最高裁大法廷平成21・11・18
地方自治法施行令115条,113条,108条2項及び109条の各規定のうち,公職選挙法89条1項を準用することにより,公務員につき議員の解職請求代表者となることを禁止している部分は,その資格制限が解職の請求手続にまで及ぼされる限りで,同法中の選挙に関する規定を解職の投票に準用する地方自治法85条1項に基づく政令の定めとして許される範囲を超え,無効である。


住民訴訟
   第十節 住民による監査請求及び訴訟
(住民監査請求)
第242条  普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体のこうむった損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。
2  前項の規定による請求は、当該行為のあった日又は終わった日から一年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
3  第1項の規定による請求があった場合において、当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由があり、当該行為により当該普通地方公共団体に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、当該行為を停止することによって人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがないと認めるときは、監査委員は、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関又は職員に対し、理由を付して次項の手続が終了するまでの間当該行為を停止すべきことを勧告することができる。この場合においては、監査委員は、当該勧告の内容を第1項の規定による請求人(以下「請求人」という。)に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
4  第1項の規定による請求があった場合においては、監査委員は、監査を行い、請求に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を書面により請求人に通知するとともに、これを公表し、請求に理由があると認めるときは、当該普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関又は職員に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
5  前項の規定による監査委員の監査及び勧告は、第1項の規定による請求があった日から60日以内にこれを行なわなければならない。
6  監査委員は、第4項の規定による監査を行うに当たっては、請求人に証拠の提出及び陳述の機会を与えなければならない。
7  監査委員は、前項の規定による陳述の聴取を行う場合又は関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員の陳述の聴取を行う場合において、必要があると認めるときは、関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員又は請求人を立ち会わせることができる。
8  第3項の規定による勧告並びに第4項の規定による監査及び勧告についての決定は、監査委員の合議によるものとする。
9  第4項の規定による監査委員の勧告があったときは、当該勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員は、当該勧告に示された期間内に必要な措置を講ずるとともに、その旨を監査委員に通知しなければならない。この場合においては、監査委員は、当該通知に係る事項を請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
(住民訴訟)
第242条の2  普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第4項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第4項の規定による監査若しくは勧告を同条第5項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。
一  当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
二  行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
三  当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
四  当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第243条の2第3項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合にあっては、当該賠償の命令をすることを求める請求
2  前項の規定による訴訟は、次の各号に掲げる期間内に提起しなければならない。
一  監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合は、当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があった日から30日以内
二  監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合は、当該措置に係る監査委員の通知があった日から30日以内
三  監査委員が請求をした日から60日を経過しても監査又は勧告を行なわない場合は、当該60日を経過した日から30日以内
四  監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員が措置を講じない場合は、当該勧告に示された期間を経過した日から30日以内
3  前項の期間は、不変期間とする。
4  第1項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもって同一の請求をすることができない。
5  第1項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
6  第1項第1号の規定による請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによって人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない。
7  第1項第4号の規定による訴訟が提起された場合には、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に対して、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員は、遅滞なく、その訴訟の告知をしなければならない。
8  前項の訴訟告知は、当該訴訟に係る損害賠償又は不当利得返還の請求権の時効の中断に関しては、民法第147条第1号 の請求とみなす。
9  第七項の訴訟告知は、第1項第4号の規定による訴訟が終了した日から六月以内に裁判上の請求、破産手続参加、仮差押若しくは仮処分又は第2百30一条に規定する納入の通知をしなければ時効中断の効力を生じない。
10  第1項に規定する違法な行為又は怠る事実については、民事保全法に規定する仮処分をすることができない。
11  第2項から前項までに定めるもののほか、第1項の規定による訴訟については、行政事件訴訟法第43条 の規定の適用があるものとする。
12  第1項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士・弁護士法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。
(訴訟の提起)
第242条の3  前条第1項第4号本文の規定による訴訟について、損害賠償又は不当利得返還の請求を命ずる判決が確定した場合においては、普通地方公共団体の長は、当該判決が確定した日から60日以内の日を期限として、当該請求に係る損害賠償金又は不当利得の返還金の支払を請求しなければならない。
2  前項に規定する場合において、当該判決が確定した日から60日以内に当該請求に係る損害賠償金又は不当利得による返還金が支払われないときは、当該普通地方公共団体は、当該損害賠償又は不当利得返還の請求を目的とする訴訟を提起しなければならない。
3  前項の訴訟の提起については、第96条第1項第12号の規定にかかわらず、当該普通地方公共団体の議会の議決を要しない。
4  前条第1項第4号本文の規定による訴訟の裁判が同条第七項の訴訟告知を受けた者に対してもその効力を有するときは、当該訴訟の裁判は、当該普通地方公共団体と当該訴訟告知を受けた者との間においてもその効力を有する。
5  前条第1項第4号本文の規定による訴訟について、普通地方公共団体の執行機関又は職員に損害賠償又は不当利得返還の請求を命ずる判決が確定した場合において、当該普通地方公共団体がその長に対し当該損害賠償又は不当利得返還の請求を目的とする訴訟を提起するときは、当該訴訟については、代表監査委員が当該普通地方公共団体を代表する。
  
最高裁大法廷昭和52・7・13、津地鎮祭事件
一、憲法の政教分離原則は、国家が宗教的に中立であることを要求するものではあるが、国家が宗教とのかかわり合いをもつことを全く許さないとするものではなく、宗教とのかかわり合いをもたらす行為目的及び効果にかんがみ、そのかかわり合いがわが国の社会的・文化的諸条件に照らし信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものである。
二、憲法20条3項にいう宗教的活動とは、国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいう。
三、市が主催し神式に則り挙行された市体育館の起工式は、宗教とかかわり合いをもつものであることを否定することはできないが、その目的が建築着工に際し土地の平安堅固、工事の無事安全を願い、社会の一般的慣習に従った儀礼を行うという専ら世俗的なものと認められ、その効果が神道を援助、助長、促進し又は他の宗教に圧迫、干渉を加えるものとは認められない判示の事情のもとにおいては、憲法20条3項にいう宗教的活動にあたらない。


最高裁平成4・12・15、1日校長事件
一 地方自治法242条の2第1項4号の規定に基づく代位請求に係る当該職員に対する損害賠償請求訴訟において、右職員に損害賠償責任を問うことができるのは、先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても、右原因行為を前提としてされた右職員の行為自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られる。
二 教育委員会が公立学校の教頭で勧奨退職に応じた者を校長に任命して昇給させるとともに同日退職を承認する処分をした場合において、右処分が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するものといえないときは、知事がした右の者の昇給後の号給を基礎とする退職手当の支出決定は、財務会計法規上の義務に違反する違法なものとはいえない。

最高裁平成15・1・17、徳島県議会野球大会旅費日当宿泊料等返還請求事件
 1 全国都道府県議会議員軟式野球大会に県議会議員が参加することは,同大会の内容が単に議員が野球の対抗試合を行って優勝を競うものにすぎず,他の都道府県議会議員との意見交換や相互交流等の機会は設けられておらず,競技施設の視察等の公式行事も予定されていなかったなど原判示の事実関係の下においては,議員としての職務であるとはいえず,同大会に参加した議員は,県に対し,支給を受けた旅費相当額の不当利得返還義務を負う。
2 県議会議長が平成9年開催の全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加する議員に対し発した旅行命令が違法である場合において,同命令を前提として知事の補助職員がした議員に対する旅費の支出負担行為及び支出命令は,同大会が,昭和24年以降,国民体育大会に協賛する趣旨で毎年その時期に合わせて開催され,昭和62年にはすべての都道府県議会が参加するようになったという歴史を有し,平成9年開催の国民体育大会に協賛するとともに,議員相互の親睦とスポーツ精神の高揚を図り,地方自治の発展に寄与する旨の目的の下に開催されたものであり,全国47都道府県議会から議員1400人余りがこれに参加したなど原判示の事実関係の下においては,財務会計法規上の義務に違反する違法なものということはできない。
3 県議会において全国都道府県議会議員軟式野球大会に議員を派遣することが決定されたことを受けて,県議会事務局職員に対し,議員に随行して実行委員会本部との調整,用具の運搬管理,記録その他の補助業務に当たらせるために,職務命令である旅行命令が発せられたという事実関係の下においては,同命令に重大かつ明白な瑕疵があったとはいえず,同命令に従って議員に随行した職員は,県に対し,支給を受けた旅費相当額の不当利得返還義務を負わない。