阪急阪神ホテルの偽装問題について - CSR・環境経営 - 専門家プロファイル

中西 真人
株式会社M&R Consulting 代表取締役
東京都
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閲覧数順 2016年12月02日更新

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阪急阪神ホテルの偽装問題について

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今回は、本コラムのこれまでの範囲から逸脱しますが、愛着のある企業が話題の渦中にあるので私見を述べる次第です。かつて私の父は阪急交通社に勤めており、自分自身が阪急の社宅で子供時分を過ごしていました。昭和30年代のことです。近くには旭化成の社宅などもあり、今では廃校となった渋谷小学校にもたくさん児童が通っていました。
当然といいますか、父も会社人間でしたので、テレビで野球観戦する時も応援するのは阪急ブレーブスといった具合で、折に触れ阪急の良さを聞かされていました。父が若い頃には、電鉄にも勤務していたようで、当時の社長である小林米三(創業者の確か婿養子で、梅田駅移転の決断をしたことで知られています)が社員の前でこんなことを語ったなどと話していたことを覚えています。
そうした経緯のためか、大学に入る頃には阪急創業者である小林一三の伝記を読んだりもしました。数多あるエピソードの中に、次のような話があります。ある新聞記者が阪急電車に座っていると、小林一三が声をかけてきました。「君、立ってくれんか。君はタダだろう?」当時、記者には乗車パスが配られていたようです。もちろん、小林氏も立って乗車していた訳ですが、さすがに大衆に娯楽をと考えて宝塚を作っただけの人物は違うな、と感心したものです。
経営コンサルタントとなった今も、小林一三氏への畏敬の念に変わりはありません。そんな小林一三氏が今回のニュースを知ったら、どのように思うでしょうか?私は阪急グループの対応に驚きを禁じえません。
顧客第一などと言われる前から、顧客、乗客のことを考えていた創業者の理念はどこかへ吹き飛んでしまったかのようです。そうした根本的な理念の置き忘れが、対応のマズさとして露見しています。
まず、最初の記者会見の段階からトップが出てこなかったことです。これは、事態の重大さを見誤っていたことを如実に表しています。会社として「大した問題ではない」との姿勢を利用者に示してしまったからです。
次に「誤表示」という言葉です。自動車の速度計が誤表示を起こしたら、悪気がないではすみません。食品についても昨今はアレルギーで注意が必要な時代です。メニューは、値段とともに利用者の判断基準です。そこでのミスが何年も見過ごされていいはずがありません。
さらに、何年も気づかない程度の商品知識しか社員にないのか、という組織の質の問題があります。ホテルのレストランで、しかも産地やブランドを表示していながら、実際は知識がありませんでした、では仕入れ担当者は務まらないはずです。表示しているものを見分ける知識がないのであれば、十分に不当表示の疑いがあります。先に述べたように利用者はそれを信頼して判断基準としているからです。そして、その信頼とは、ホテル、あるいは阪急へのの信頼そのものなのです。
最後に、偽装か否かについて疑義を呈したいと思います。利用者を騙す意図はなかった、との社長の説明ですが同時に会社として不当に利益を得ようとするものではなかったと説明されています。しかし、報道を見る限り、不当表示とされる食材はいずれも、表示されているものより廉価なものが実際は使われてきたようです。もしそうであれば、明らかに利益を得ることが目的なのであり、仕入れ担当者が気づかないわけがありません。あるいは、仕入れではなく、会見にもありましたが「手間を省く」こともあったかもしれませんが、これも作業のコストカットにつながるもので利益が得られます。
誰も企業が利益を得ることを問題にはしません。もちろん、小林氏も利益を得ることを考えていました。問題はその「手段」です。企業の理念は利益の源泉すなわち存立意義を示すものです。未だ阪急阪神HDの総帥から何ら説明がないように思いますが、小林家の末裔でもあるテニスの松岡修造氏に喝を入れてもらいたいものです。

 

 

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