第4章 裁判官はなぜ怒ったのか(13) - 刑事事件・犯罪全般 - 専門家プロファイル

羽柴 駿
番町法律事務所 
東京都
弁護士

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対象:刑事事件・犯罪

羽柴 駿
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(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月03日更新

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第4章 裁判官はなぜ怒ったのか(13)

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(第13回)

 閉廷後、裁判官が「双方、ちょっと来てください」と私と検察官に声をかけてきました。そして別の部屋に入ると裁判官は検察官に対し怒りもあらわにズバリと言いました。
「検察官、これは大変な失態ですよ。このままでは有罪の心証がとれません」
 私は思わず裁判官の顔を見つめました。有罪の心証がとれないことに「大変な失態」と怒りをあらわにする裁判官の感覚に違和感を感じたからです。有罪の証拠がなければ無罪になるのが当然という感覚ではなく、被告人は有罪になるのが当然という感覚があるからこそ、こんな怒りの発言になったとしか受け取れない怒り方でした。
 私は裁判官に「裁判長、有罪の心証がとれないとおっしゃるなら、無罪の判決を下されればよいのではないですか」と率直な疑問をぶつけてみました。被告人を無罪に出来ないからといって裁判官が怒る必要はない、無罪判決を書けば良いだけの話でしょう、との意を言外に込めたつもりでした。
 裁判官は少し口ごもるようにして「いや、まあ、まだ検察官に立証の機会はありますから・・・。」と言っただけでした。
 そして「実況見分をする場合、被告人を立ち会わせるなら弁護人も当然立ち会わせるべきだろう」、と付け加えたのです。
                        
                                    (次回へ続く)